すいすい通信 vol.126 2021年9月号
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆
☆ すいすい通信 ☆ vol.126 2021年9月1日配信
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆
こんにちは。リーゾの門奈です。
先月号では、冒頭のお名前に敬称を付け忘れるという大ポカをしてしまい、大変失礼いたしました。心よりお詫び申し上げます。
それでは、今月のすいすい通信をお届けします!
_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_//_/_/_/_/_/_/_/
・特集・・・・・・・・DNAすいすいシリーズをめぐるあれこれ
・零細起業のあれこれ・・・・・・・零細起業時のおすすめ本4
・コーヒーブレイク・・・・・・・・・・mRNAワクチンのしくみ
・リーゾからのお知らせ
■ 特 集 ━━━━━━━・・・・‥‥‥………………………
DNAすいすいシリーズをめぐるあれこれ
農学分野のご研究では、「DNAが取れなくて先に進めない」という状況が起こりがち。それは、研究材料である農産物や環境材料などには核酸抽出を難しくする要因が多いためです。
さらに、研究対象が非常に細分化されているために、うまくいかなくても同じ材料を扱う他の研究者がいなかったり、いてもライバルだったりして、誰にも相談できないことも研究者さんを悩ませています(農学研究者さんは、けっこう孤独なんです)。
という状況の中で、多くの農学研究者さんに重宝していただいているリーゾのすいすいシリーズ。
今でこそ9種類(RNAすいすいも入れると13種類)もあって、「シリーズ」なんて呼んでおりますが、最初は米粒から取れることを特徴としたものを「DNAすいすい」「RNAすいすい」と呼んで販売しておりました。
これでお米は全部いけるか試したところ、「黒米」「赤米」はダメとわかり、ポリフェノールに対応した改良版ができたところで初めて「-S(澱粉=starchのS)」「-P(ポリフェノールのP)」という識別子がつきました。
さらにいろいろ試すうちに、「ペクチンを含む果物や葉はダメ」で改良したのが「-R(バラ科=RosaceaeのR)」、「ネバネバの多いのはダメ」で改良したのが「-VS(粘性=viscousのVS)」です。
その後、脂質の多い植物種子向けの「-L(脂質=lipidのL)」、木材など乾燥植物材料向けの「-W(woodのW)」、加工食品向けでカラム併用可能な「-PF(加工食品=processed food)」などを、つくば市の戦略的研究開発補助金をいただきながら開発していきました。
変わり種は、「-F」です。オフィスで金魚を飼っていたので、金魚が痛くないようにDNAを取れないか?と、体表粘膜(を拭きとったスワブ)から取れる組成を考えました。なのでfishのF。でも、動物組織全般や、細菌類、藍藻、糸状菌など微生物でも実績が積み上がり、今では商品名と用途が合わなくなってます。
そして細菌や糸状菌から取れる「-F」から出発して、多孔質や腐植(DNA抽出を難しくする成分です)を多量に含む土壌の中にいる細菌や糸状菌から取れるように改良したのが「-E(土=earth、環境=environmentのE)」です。
こんなにいろいろあると、自分の研究材料に合うものはどれか、悩んでしまうかも。そんなときのために、リーゾのウェブサイトには「ガイド」を設けてあります。近い材料を選んでいただくとお勧めの試薬がわかります。
それでも近いものがない!わからない!というときには、「問い合わせフォーム」があります(私に届くだけなので、気楽にご相談いただいて大丈夫です)。
販売開始から12年。たくさんの研究者さんのお悩みを解決してきましたが、最近の課題は、「フェノクロ、特にクロロホルムを使わずに抽出できないか」。環境に配慮して、クロロホルムを使わないラボが増えているようです。
材料が若い葉で、PCRが1回かかればいい、という条件であれば、今でもフェノクロなしは可能な製品もあります。そうでない場合にもなんとかできないか。そもそもの組成や抽出原理まで立ち返って、情報集めと頭の体操をしているところです。
もうひとつ、方向性は違いますが、SDGsの観点から、少しでもゴミを減らそうと、取説の簡略化を進めています。現在の取説はA4用紙3枚を使った小冊子ですが、必要最小限の情報を1枚にまとめたクイックリファレンス(取説PDFへのQRコードつき)への変換を進めています。
ボトルのラベルにQRコードを印刷して、スマホで見てもらう形にすれば、完全ペーパーレスになるのですが、抵抗のあるお客様もいらっしゃるかもしれません。リーゾらしく、無理せず少しずつ取り組みます(小冊子版が必要な際は、送ります)。
さらにボトル。洗剤などでは当たり前の「詰め替え方式」は、試薬業界ではまだないので、もしできたら画期的。こちらもいずれ検討したいと思っています。
DNAすいすいシリーズ 材料別選び方ガイドはこちら
https://rizo.co.jp/DNAguide.html
■ 零細起業のあれこれ ━━━━━・・・・・・・‥‥………
零細起業時のおすすめ本4
駆け出し経営者時代(今も駆け出しではありますが)、先が見えない不安の中で、図書館の「商業」「経済」の棚を端から借りて浅く広く読みあさり、心に響いた本ををブログに紹介する、ということをしてました。
起業したての人、これから起業する人にも、大事なことを教えてくれる本ばかり。すいすい通信ではこれまでに14冊分をご紹介しました。今回はその続きです。
ここではそれぞれ簡単に紹介し、リンク先の古~いブログ記事で詳細をご覧いただければと思います。あくまで独自視点での紹介です。本編を読むとっかかりにでもしていただければうれしいです。
※ご紹介第一弾、その1~その5はすいすい通信vol.115、
その6~10はすいすい通信vol.119
その11~14はすいすい通信vol.124にあります
http://rizo.co.jp/suisui115.html
https://rizo.co.jp/suisui119.html
https://rizo.co.jp/suisui124.html
その15『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説 アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』トニー・シェイ 著(ダイヤモンド社)
2012年8月10日と8月12日にご紹介。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-eff8.htmlhttp://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-b123.html
2009年に12億ドルの評価額でAmazonによる買収を果たした、ネット小売り会社「ザッポス」の創業者、トニー・シェイさんによる自伝。共感しすぎて1回で書ききれず、2回に分けた唯一の本です。
幼少期から商売人としての才覚を現し、様々なビジネスを立ち上げ成功させてきたトニーさんですが、ミリオネアになったのちに『お金より情熱』と実感して始めたのがザッポスでした。
顧客に最高の『ワオ!』(素晴らしい商品や体験を届けられたときの驚き、喜び)を提供する会社を作り上げていくのですが、その道のりは平たんではなく・・・(面白いので読んでください)。
『組織の原則として「幸せ」を用いることが、道すがらあなたを導く助けになります』というトニーさんの言葉は、低空飛行でもリーゾを続けていける力になっています。表紙のトニーさんがなぜ丸坊主なのか?も、本書を読むとわかります♪
その16『宮台教授の就活原論』宮台真司 著(太田出版)
2012年11月28日にご紹介。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-78ae.html
「就職活動」とは、逆の側から見れば、「人材採用」のこと。言うまでもなく、経営側にも超重要です。
教授が学生に説くのは「今は適応より適応力」「ホームベースを作れ」「面接では嘘をついていい」「社会的に正しい企業を選べ」等々、普通は大人が言わないような、でも確かに!といえることばかり。
そして、「主婦」ってやっぱりすごい人材だ(適応力、ホームベース、上手に嘘つく技術、ぜんぶ持ってる!)と再認識した本でした。就活生ならずとも、働く人皆にお勧めできる本です。
その17『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』デイヴィッド・ミーアマン・スコット+ブライアン・バリガン著渡辺由佳里 訳 糸井重里 監修・解説(日経BP社)
2013年2月25日にご紹介。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-dbfe.html
これがまた見た目がすごい本で、図書館で見つけたとき、3回は表紙でスルーしました(リンク先に写真あります)。
グレイトフル・デッドというのは、1960年代のバンドですが、ヒット曲もなく、スターもいないのに、でも大人気で、ファンを引き連れて回る全米コンサートは、さながら「移動する町」。牧歌的で時代遅れなのに、なぜか大きな市場を生み出し続けている。それはなぜ?を探ったのが本書です。
今では当たり前の「フリー」「シェア」戦略を自然に実践していたのもさることながら、『ライバルがいない新しい市場を作る』『顧客と直接つながり大事にする』『本当にやりたいことを楽しくやり続ける』などがリーゾと共通で深く共感しました。巻頭の、糸井重里さんによる解説だけでも読む価値ありです。
今回は3冊、ご紹介しました。よろしければ、リンク先のブログ記事も読んでみてください。もちろん書籍そのものもぜひ!
リーゾのオフィシャルブログ(最近の記事、あまり充実してませんが)はこちらです
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/
■ コーヒーブレイク━━━━・・・・・‥‥‥……
mRNAワクチンのしくみ
先日、コロナワクチンの2回目の接種を終えました。心配した副反応は、接種翌日の全身痛と発熱(最高37度6分)がありました。周りの人を見ていると、モデルナ製を接種した人は重め、ファイザー製は軽めの傾向があるようです(私はファイザー製)。
実はコロナ用のワクチン(いわゆるmRNAワクチン)は、従来のワクチンとは全く違うしくみであることをご存じでしょうか。
仕事がら、DNAとかRNAとかを日常的に扱う立場の私ですら、mRNAがワクチンとして機能するしくみがにわかには理解できませんでした。
そもそもmRNAとは何でしょうか。よくDNAが「生命の設計図」と言われます。ゲノムDNAが持つ情報は膨大で、イメージとしては百科事典。ここから、必要なときに必要な部分だけを選んでコピーしたのがmRNAで、イメージとしては「各項目の説明文」です。
コピーしてできたmRNAをもとにして、細胞内でタンパク質が作られ、用が済んだmRNAはただちに分解され、新たなmRNAの材料として再利用されます。
従来のワクチンでは、接種するのは「タンパク質」です。培養したウイルスの感染力をなくしたものとか、ウイルスのコート(殻)タンパクの一部とか。外来のタンパク質が細胞内に入ると、免疫系が異物と認識して、専用の抗体を作る方法を学習します。
一度学習しておけば、本物のウイルスが細胞に侵入してきたときに、瞬時に抗体を量産して対抗し、ウイルスの増殖を抑え込むことができる、というわけです。
では、mRNAワクチンはどうして効くのでしょうか?
実は、ワクチンのmRNAには、コロナウイルスの特徴をもつスパイク(=とげ)タンパク質の配列がコードされています。これが私たちの細胞に入ると、細胞はmRNAに従ってタンパク質を作ります。
ここから先は、従来のワクチンと同様で、私たちの免疫系が異物を認識して、専用の抗体を作る系を確立していきます。一方で、役割を終えたmRNAは、分解されて消滅します。
ここで大切な事実がふたつ。
1.ワクチンを打つことで、ウイルスに感染することはない
2.mRNAは我々のゲノムDNAに組み込まれることはない
科学的な説明は省略しますが、もしかしてこの2点を心配している方がいらっしゃいましたら、大丈夫ですのでご安心ください。
mRNAワクチンの利点は、従来のワクチンのようにウイルスそのものを培養する必要がないために、製造中に感染するリスク、培養変異のリスク、卵アレルギーのリスクがないことが挙げられます。
また、設計変更が自在にでき、設計から実用化までのスピードが早いので、変異株の出現にもある程度ついていくことができる、という点も心強いです。
mRNAはものすごく繊細で分解しやすいもので(RNAの分解しやすさについては実験で何度も痛い目にあってます)、単に注射しただけでは一瞬で分解されてしまいます。ワクチンとしての実用化にも、この点が難関だったことでしょう。壊されにくいように一部加工する、脂質ナノ粒子の膜で作ったカプセルに入れる、という工夫で解決し、実用化に至ったようです。
ということで、接種してしまってから気になって調べてみました。こういうことなのか!と理解できてスッキリです。
医療情勢の厳しさが増す今、自分が重篤化しないことで、守れる命がひとつ増えることにもなります。希望する人全員に、迅速に接種ができる状況になることを願ってやみません。
主に参考にしたサイトはこちらです
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/different-vaccines/mRNA.html
■ リーゾからのお知らせ ━━━━━・・・・・・・‥‥……
〇美食同玄米サマーセール
・美食同玄米プレミアムわけあり5キロ+パックごはん12個通常価格8,532円→5,400円パックごはんは無帯(1つだけ個包装)ですのでご自宅用に。
・パックごはんのみ2箱(24個) 4,950円
・プレミアムわけありのみ2袋(10キロ) 6,480円
全て税送料込みです。さらに大人気の「美食同玄米揚げたがね」1袋がついてます。
ご注文はメール(本メールに返信で可)、リーゾウェブサイトお問い合わせフォーム、Facebookのメッセージにてお待ちしております。
〇実験補助セミナー開講中
少人数で質問も実習もたっぷりできるセミプライベートレッスン。今年度は感染対策を講じた上で開講しております。
次回は9月18日(水)に「緩衝液の役割と調製法」(pH調整の必要な水溶液の作り方)を行います。だんだん難しくなっていきますよ~。
詳しくはこちら
https://rizo.co.jp/seminer.html
〇FAX番号変更のお願い(既報)
契約していたインターネットFAXサービスが10月末で終了することになり、FAX受信専用の電話回線を新たに設けました。
旧)020-4623-5611新)029-898-9161
FAXご利用のお客様は、お手数ですが、変更をお願いいたします。
■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━・・・・‥‥‥…
○リーゾのお客様からの情報をシェアします。市販のミニトマトから種を取ってF2個体群を育て、メンデル則に従った形質の分離を観察する、名付けて「メンデルが居たプロジェクト」。教育現場で実践中のこのプロジェクトについてまとめたもので、理科の先生ならずとも、やってみたくなることうけあいです♪
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbe/62/1/62_2/_pdf/-char/ja
〇温室で育てた「シシリアンルージュハイGABA」、大量の実が取れました。食べ方はいろいろ試しましたが、一押しは「湯むきして塩コショウとオリーブオイルに漬け込んだだけのマリネ」。そのままつまんでも良いし、サラダの具材にしたり、パスタと和えたり。強めの酸味と固めの食感がほどよく、おいしくて重宝しました。来年も育てようかな。
〇速報です。念願だった、美食同玄米の通販サイトができました。お店の名前は「リーゾのお米」。今は美食同玄米だけですが、リーゾで開発中の他のお米がデビューする日を夢見て命名。高級食材にふさわしい雰囲気を出せているでしょうか。ついでにインスタグラムも始めてます(rizo_no_okome)。
https://rizonookome.rizo.co.jp/
○最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからもリーゾとすいすい通信をどうぞよろしくお願いいたします。
/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/
すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、および関係者の皆様にお送りしています。この号は997名様に配信しました。お知り合いで、「すいすい通信」の配信を承認していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。配信登録はこちらからできます。
http://rizo.sakura.ne.jp/vd/entry/e/bS8PtaC5kPRXp3iy/
-----------------------------------------------------------
【すいすい通信】
発 行 日:月1回・第1水曜日(予定) 発行開始日:2011年4月7日
ご意見ご感想、および本メールマガジンの解除はこちらまで
info(at)rizo.co.jp
【発行元】
株式会社リーゾ〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-9-5-A03
TEL:029-852-9351 FAX:020-4623-5611
MAIL:info(at)rizo.co.jp
HP:http://www.rizo.co.jp/
※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。
===========================================================
Copyright(C) Rizo Inc. All rights reserved.
\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\
☆ すいすい通信 ☆ vol.126 2021年9月1日配信
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆
こんにちは。リーゾの門奈です。
先月号では、冒頭のお名前に敬称を付け忘れるという大ポカをしてしまい、大変失礼いたしました。心よりお詫び申し上げます。
それでは、今月のすいすい通信をお届けします!
_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_//_/_/_/_/_/_/_/
・特集・・・・・・・・DNAすいすいシリーズをめぐるあれこれ
・零細起業のあれこれ・・・・・・・零細起業時のおすすめ本4
・コーヒーブレイク・・・・・・・・・・mRNAワクチンのしくみ
・リーゾからのお知らせ
■ 特 集 ━━━━━━━・・・・‥‥‥………………………
DNAすいすいシリーズをめぐるあれこれ
農学分野のご研究では、「DNAが取れなくて先に進めない」という状況が起こりがち。それは、研究材料である農産物や環境材料などには核酸抽出を難しくする要因が多いためです。
さらに、研究対象が非常に細分化されているために、うまくいかなくても同じ材料を扱う他の研究者がいなかったり、いてもライバルだったりして、誰にも相談できないことも研究者さんを悩ませています(農学研究者さんは、けっこう孤独なんです)。
という状況の中で、多くの農学研究者さんに重宝していただいているリーゾのすいすいシリーズ。
今でこそ9種類(RNAすいすいも入れると13種類)もあって、「シリーズ」なんて呼んでおりますが、最初は米粒から取れることを特徴としたものを「DNAすいすい」「RNAすいすい」と呼んで販売しておりました。
これでお米は全部いけるか試したところ、「黒米」「赤米」はダメとわかり、ポリフェノールに対応した改良版ができたところで初めて「-S(澱粉=starchのS)」「-P(ポリフェノールのP)」という識別子がつきました。
さらにいろいろ試すうちに、「ペクチンを含む果物や葉はダメ」で改良したのが「-R(バラ科=RosaceaeのR)」、「ネバネバの多いのはダメ」で改良したのが「-VS(粘性=viscousのVS)」です。
その後、脂質の多い植物種子向けの「-L(脂質=lipidのL)」、木材など乾燥植物材料向けの「-W(woodのW)」、加工食品向けでカラム併用可能な「-PF(加工食品=processed food)」などを、つくば市の戦略的研究開発補助金をいただきながら開発していきました。
変わり種は、「-F」です。オフィスで金魚を飼っていたので、金魚が痛くないようにDNAを取れないか?と、体表粘膜(を拭きとったスワブ)から取れる組成を考えました。なのでfishのF。でも、動物組織全般や、細菌類、藍藻、糸状菌など微生物でも実績が積み上がり、今では商品名と用途が合わなくなってます。
そして細菌や糸状菌から取れる「-F」から出発して、多孔質や腐植(DNA抽出を難しくする成分です)を多量に含む土壌の中にいる細菌や糸状菌から取れるように改良したのが「-E(土=earth、環境=environmentのE)」です。
こんなにいろいろあると、自分の研究材料に合うものはどれか、悩んでしまうかも。そんなときのために、リーゾのウェブサイトには「ガイド」を設けてあります。近い材料を選んでいただくとお勧めの試薬がわかります。
それでも近いものがない!わからない!というときには、「問い合わせフォーム」があります(私に届くだけなので、気楽にご相談いただいて大丈夫です)。
販売開始から12年。たくさんの研究者さんのお悩みを解決してきましたが、最近の課題は、「フェノクロ、特にクロロホルムを使わずに抽出できないか」。環境に配慮して、クロロホルムを使わないラボが増えているようです。
材料が若い葉で、PCRが1回かかればいい、という条件であれば、今でもフェノクロなしは可能な製品もあります。そうでない場合にもなんとかできないか。そもそもの組成や抽出原理まで立ち返って、情報集めと頭の体操をしているところです。
もうひとつ、方向性は違いますが、SDGsの観点から、少しでもゴミを減らそうと、取説の簡略化を進めています。現在の取説はA4用紙3枚を使った小冊子ですが、必要最小限の情報を1枚にまとめたクイックリファレンス(取説PDFへのQRコードつき)への変換を進めています。
ボトルのラベルにQRコードを印刷して、スマホで見てもらう形にすれば、完全ペーパーレスになるのですが、抵抗のあるお客様もいらっしゃるかもしれません。リーゾらしく、無理せず少しずつ取り組みます(小冊子版が必要な際は、送ります)。
さらにボトル。洗剤などでは当たり前の「詰め替え方式」は、試薬業界ではまだないので、もしできたら画期的。こちらもいずれ検討したいと思っています。
DNAすいすいシリーズ 材料別選び方ガイドはこちら
https://rizo.co.jp/DNAguide.html
■ 零細起業のあれこれ ━━━━━・・・・・・・‥‥………
零細起業時のおすすめ本4
駆け出し経営者時代(今も駆け出しではありますが)、先が見えない不安の中で、図書館の「商業」「経済」の棚を端から借りて浅く広く読みあさり、心に響いた本ををブログに紹介する、ということをしてました。
起業したての人、これから起業する人にも、大事なことを教えてくれる本ばかり。すいすい通信ではこれまでに14冊分をご紹介しました。今回はその続きです。
ここではそれぞれ簡単に紹介し、リンク先の古~いブログ記事で詳細をご覧いただければと思います。あくまで独自視点での紹介です。本編を読むとっかかりにでもしていただければうれしいです。
※ご紹介第一弾、その1~その5はすいすい通信vol.115、
その6~10はすいすい通信vol.119
その11~14はすいすい通信vol.124にあります
http://rizo.co.jp/suisui115.html
https://rizo.co.jp/suisui119.html
https://rizo.co.jp/suisui124.html
その15『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説 アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』トニー・シェイ 著(ダイヤモンド社)
2012年8月10日と8月12日にご紹介。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-eff8.htmlhttp://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-b123.html
2009年に12億ドルの評価額でAmazonによる買収を果たした、ネット小売り会社「ザッポス」の創業者、トニー・シェイさんによる自伝。共感しすぎて1回で書ききれず、2回に分けた唯一の本です。
幼少期から商売人としての才覚を現し、様々なビジネスを立ち上げ成功させてきたトニーさんですが、ミリオネアになったのちに『お金より情熱』と実感して始めたのがザッポスでした。
顧客に最高の『ワオ!』(素晴らしい商品や体験を届けられたときの驚き、喜び)を提供する会社を作り上げていくのですが、その道のりは平たんではなく・・・(面白いので読んでください)。
『組織の原則として「幸せ」を用いることが、道すがらあなたを導く助けになります』というトニーさんの言葉は、低空飛行でもリーゾを続けていける力になっています。表紙のトニーさんがなぜ丸坊主なのか?も、本書を読むとわかります♪
その16『宮台教授の就活原論』宮台真司 著(太田出版)
2012年11月28日にご紹介。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-78ae.html
「就職活動」とは、逆の側から見れば、「人材採用」のこと。言うまでもなく、経営側にも超重要です。
教授が学生に説くのは「今は適応より適応力」「ホームベースを作れ」「面接では嘘をついていい」「社会的に正しい企業を選べ」等々、普通は大人が言わないような、でも確かに!といえることばかり。
そして、「主婦」ってやっぱりすごい人材だ(適応力、ホームベース、上手に嘘つく技術、ぜんぶ持ってる!)と再認識した本でした。就活生ならずとも、働く人皆にお勧めできる本です。
その17『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』デイヴィッド・ミーアマン・スコット+ブライアン・バリガン著渡辺由佳里 訳 糸井重里 監修・解説(日経BP社)
2013年2月25日にご紹介。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-dbfe.html
これがまた見た目がすごい本で、図書館で見つけたとき、3回は表紙でスルーしました(リンク先に写真あります)。
グレイトフル・デッドというのは、1960年代のバンドですが、ヒット曲もなく、スターもいないのに、でも大人気で、ファンを引き連れて回る全米コンサートは、さながら「移動する町」。牧歌的で時代遅れなのに、なぜか大きな市場を生み出し続けている。それはなぜ?を探ったのが本書です。
今では当たり前の「フリー」「シェア」戦略を自然に実践していたのもさることながら、『ライバルがいない新しい市場を作る』『顧客と直接つながり大事にする』『本当にやりたいことを楽しくやり続ける』などがリーゾと共通で深く共感しました。巻頭の、糸井重里さんによる解説だけでも読む価値ありです。
今回は3冊、ご紹介しました。よろしければ、リンク先のブログ記事も読んでみてください。もちろん書籍そのものもぜひ!
リーゾのオフィシャルブログ(最近の記事、あまり充実してませんが)はこちらです
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/
■ コーヒーブレイク━━━━・・・・・‥‥‥……
mRNAワクチンのしくみ
先日、コロナワクチンの2回目の接種を終えました。心配した副反応は、接種翌日の全身痛と発熱(最高37度6分)がありました。周りの人を見ていると、モデルナ製を接種した人は重め、ファイザー製は軽めの傾向があるようです(私はファイザー製)。
実はコロナ用のワクチン(いわゆるmRNAワクチン)は、従来のワクチンとは全く違うしくみであることをご存じでしょうか。
仕事がら、DNAとかRNAとかを日常的に扱う立場の私ですら、mRNAがワクチンとして機能するしくみがにわかには理解できませんでした。
そもそもmRNAとは何でしょうか。よくDNAが「生命の設計図」と言われます。ゲノムDNAが持つ情報は膨大で、イメージとしては百科事典。ここから、必要なときに必要な部分だけを選んでコピーしたのがmRNAで、イメージとしては「各項目の説明文」です。
コピーしてできたmRNAをもとにして、細胞内でタンパク質が作られ、用が済んだmRNAはただちに分解され、新たなmRNAの材料として再利用されます。
従来のワクチンでは、接種するのは「タンパク質」です。培養したウイルスの感染力をなくしたものとか、ウイルスのコート(殻)タンパクの一部とか。外来のタンパク質が細胞内に入ると、免疫系が異物と認識して、専用の抗体を作る方法を学習します。
一度学習しておけば、本物のウイルスが細胞に侵入してきたときに、瞬時に抗体を量産して対抗し、ウイルスの増殖を抑え込むことができる、というわけです。
では、mRNAワクチンはどうして効くのでしょうか?
実は、ワクチンのmRNAには、コロナウイルスの特徴をもつスパイク(=とげ)タンパク質の配列がコードされています。これが私たちの細胞に入ると、細胞はmRNAに従ってタンパク質を作ります。
ここから先は、従来のワクチンと同様で、私たちの免疫系が異物を認識して、専用の抗体を作る系を確立していきます。一方で、役割を終えたmRNAは、分解されて消滅します。
ここで大切な事実がふたつ。
1.ワクチンを打つことで、ウイルスに感染することはない
2.mRNAは我々のゲノムDNAに組み込まれることはない
科学的な説明は省略しますが、もしかしてこの2点を心配している方がいらっしゃいましたら、大丈夫ですのでご安心ください。
mRNAワクチンの利点は、従来のワクチンのようにウイルスそのものを培養する必要がないために、製造中に感染するリスク、培養変異のリスク、卵アレルギーのリスクがないことが挙げられます。
また、設計変更が自在にでき、設計から実用化までのスピードが早いので、変異株の出現にもある程度ついていくことができる、という点も心強いです。
mRNAはものすごく繊細で分解しやすいもので(RNAの分解しやすさについては実験で何度も痛い目にあってます)、単に注射しただけでは一瞬で分解されてしまいます。ワクチンとしての実用化にも、この点が難関だったことでしょう。壊されにくいように一部加工する、脂質ナノ粒子の膜で作ったカプセルに入れる、という工夫で解決し、実用化に至ったようです。
ということで、接種してしまってから気になって調べてみました。こういうことなのか!と理解できてスッキリです。
医療情勢の厳しさが増す今、自分が重篤化しないことで、守れる命がひとつ増えることにもなります。希望する人全員に、迅速に接種ができる状況になることを願ってやみません。
主に参考にしたサイトはこちらです
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/different-vaccines/mRNA.html
■ リーゾからのお知らせ ━━━━━・・・・・・・‥‥……
〇美食同玄米サマーセール
・美食同玄米プレミアムわけあり5キロ+パックごはん12個通常価格8,532円→5,400円パックごはんは無帯(1つだけ個包装)ですのでご自宅用に。
・パックごはんのみ2箱(24個) 4,950円
・プレミアムわけありのみ2袋(10キロ) 6,480円
全て税送料込みです。さらに大人気の「美食同玄米揚げたがね」1袋がついてます。
ご注文はメール(本メールに返信で可)、リーゾウェブサイトお問い合わせフォーム、Facebookのメッセージにてお待ちしております。
〇実験補助セミナー開講中
少人数で質問も実習もたっぷりできるセミプライベートレッスン。今年度は感染対策を講じた上で開講しております。
次回は9月18日(水)に「緩衝液の役割と調製法」(pH調整の必要な水溶液の作り方)を行います。だんだん難しくなっていきますよ~。
詳しくはこちら
https://rizo.co.jp/seminer.html
〇FAX番号変更のお願い(既報)
契約していたインターネットFAXサービスが10月末で終了することになり、FAX受信専用の電話回線を新たに設けました。
旧)020-4623-5611新)029-898-9161
FAXご利用のお客様は、お手数ですが、変更をお願いいたします。
■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━・・・・‥‥‥…
○リーゾのお客様からの情報をシェアします。市販のミニトマトから種を取ってF2個体群を育て、メンデル則に従った形質の分離を観察する、名付けて「メンデルが居たプロジェクト」。教育現場で実践中のこのプロジェクトについてまとめたもので、理科の先生ならずとも、やってみたくなることうけあいです♪
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbe/62/1/62_2/_pdf/-char/ja
〇温室で育てた「シシリアンルージュハイGABA」、大量の実が取れました。食べ方はいろいろ試しましたが、一押しは「湯むきして塩コショウとオリーブオイルに漬け込んだだけのマリネ」。そのままつまんでも良いし、サラダの具材にしたり、パスタと和えたり。強めの酸味と固めの食感がほどよく、おいしくて重宝しました。来年も育てようかな。
〇速報です。念願だった、美食同玄米の通販サイトができました。お店の名前は「リーゾのお米」。今は美食同玄米だけですが、リーゾで開発中の他のお米がデビューする日を夢見て命名。高級食材にふさわしい雰囲気を出せているでしょうか。ついでにインスタグラムも始めてます(rizo_no_okome)。
https://rizonookome.rizo.co.jp/
○最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからもリーゾとすいすい通信をどうぞよろしくお願いいたします。
/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/
すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、および関係者の皆様にお送りしています。この号は997名様に配信しました。お知り合いで、「すいすい通信」の配信を承認していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。配信登録はこちらからできます。
http://rizo.sakura.ne.jp/vd/entry/e/bS8PtaC5kPRXp3iy/
-----------------------------------------------------------
【すいすい通信】
発 行 日:月1回・第1水曜日(予定) 発行開始日:2011年4月7日
ご意見ご感想、および本メールマガジンの解除はこちらまで
info(at)rizo.co.jp
【発行元】
株式会社リーゾ〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-9-5-A03
TEL:029-852-9351 FAX:020-4623-5611
MAIL:info(at)rizo.co.jp
HP:http://www.rizo.co.jp/
※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。
===========================================================
Copyright(C) Rizo Inc. All rights reserved.
\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\