すいすい通信 vol.131 2022年2月号

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☆ すいすい通信 ☆ vol.131 2022年2月2日配信
 
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こんにちは。リーゾの門奈です。今月のすいすい通信をお届けします。

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・特集・・・・・・・・・・・・・アラビ研究者向け「種子袋」
・零細起業のあれこれ・・・・・・・・・源泉徴収と年末調整
・コーヒーブレイク・・・・・・・・・・イノ米(ベイ)ション
・リーゾからのお知らせ


■ 特 集 ━━━━━━━・・・・‥‥‥………………………

アラビ研究者向け「種子袋」

リーゾの製品やサービスをひとつ取り上げて
ご紹介(宣伝)しているコーナーです。
今回は、作るのに追われて宣伝している場合ではない、
「種子袋」をご紹介します。

種子袋は、トレーシングペーパーでできた、
指先でつまめる程度の小さな紙袋です。
あるお客様のご要望に応えて作り始めたもので、
交配袋のウェブサイトの中で、
名前と材質と写真だけをひそやかに出してます。

この小さな袋の役割は、植物研究でよく使われる
「アラビドプシス(シロイヌナズナ)」
というペンペン草のような小さな植物の、
粉のように細かい種子を、
もれないように、混ざらないように、
湿気ないように、コンパクトに、
しかも超長期間(目標100年)保存することです。

そのために、必要な性能は、まず
「長期保存しても袋自体が劣化しない」こと。
このため、酸性紙ではなく、
中性のトレーシングペーパーを使います。

そして、「糊がはがれないこと」。
100年、というスパンで考えた結果、
でんぷんのりをベースにした製本用の糊を採用しました
(製本技術者さんのサイトを参考に、自家調合しています)。

もうひとつがサイズ。
マイクロチューブ保存用の一般的な紙箱に、
3列で並べられるサイズで、
省スペースでたくさん保存できるそうです。
研究室では、変異株や交配系統など、
何千種類もの種子が毎年出てくるので、
保管場所の確保も大変なのでしょう。

では、この種子袋の作り方です。

1.トレーシングペーパーは、
9×9センチの正方形で納品してもらっています。
これを型に当てて、
折りたたんだときにフタができる形にカットします。

2.次に、縦に3つ折りにします(「縦折り」)。

3.のりしろに糊を塗り、接着して筒状にします(「縦のり」)。

4.袋の底になる部分を3つ折りに折り上げて(「下折り」)、
糊を塗って圧着します(「下のり」)。

5.乾いたら、1枚ずつ指を入れて開き、
縦、下ともがっちり糊付けされていることをチェックします。
甘いものは手直しして乾かして再チェックします。

6.最後に、高さを測りながら、
フタ部分を2回折って完成です(「フタ折り」)。

宣伝している場合ではない理由は、
作るのに手間と時間がかかること。
人件費を考えると赤字です。

なので、『クオリティを落とさずに時短する』べく、
いろいろ知恵を絞ってきました。

その結果、「縦折り」「下折り」「下のり」
「フタ折り」については、
使う道具や手指の動きを工夫して、
初期の頃よりずっと効率よく、
きれいに作れるようになりました。

最後の砦は「縦のり」で、まだまだ試行錯誤中です。
時間がかかるわりに完璧に仕上がらないのがどうにも悔しい・・・。
職人じゃないのに、職人魂を燃やしちゃっています。

一方で、人に頼ることも大事だなと感じています。
最近まで、トレーシングペーパーは
A1判から自分で切り出してましたが、
カット込みで注文することにしました。
また、フタ部分のカットに使う「型」も、
アクリルできっちり作ってもらいました。
これらも、ラクになる+仕上がりがきれいになる、
に貢献しています。

種子袋に限らず(交配袋も花粉回収袋も)ですが、
大切な研究材料を守るものなので、
1枚1枚「役に立ちますように」と願いながら、
心を込めて製作しています。

昨年秋から、合計8500枚のご注文をいただいていて、
ようやくあと1000枚くらいのところまできたところです。
年度内納品分は締め切りましたが、
来年度以降、もしご研究に必要であれば、
新しいお客様にも喜んでお作りいたします。

種子袋の情報はこちら(下の方に、ちらりと載ってます)
https://rizo.co.jp/crossingbag.html

種子袋製作上のこれまでの工夫については、
こちらにもちらりと書いてます。
https://rizo.co.jp/suisui119.html


■ 零細起業のあれこれ  ━━━━━・・・・・・・‥‥………

源泉徴収と年末調整

起業を志す研究者さんにリーゾの経験を
お伝えしているコーナーです。今回は、
零細ビジネスであっても必ずやらなくてはならない、
源泉徴収と年末調整についてお話します。

従業員に支払う給与はもちろん、
ひとり会社で自分に支払う役員報酬からも、
源泉徴収は必要。
起業した以上、自分の収入がゼロはありえないですから、
やはり必ず必要です。

給与の金額に対する源泉徴収税額は、
「税額表」としてまとめられていて、
毎月の給与や役員報酬を支払う際にそれを見て税額を確認し、
振込金額から差し引いて、預り金としてプールしておきます。

時給で働いている人だと、給与が毎月同額ではないので、
税額も毎月チェックする必要がありますが、
給与が変わらなければ税額も一年間変わりません。

ちなみに税額表は、年末が近づくと送られてくる納税関連書類の中に、
次の年の分が同封されているので、
リーゾではそれを使っていますが、
国税庁のサイトからダウンロードすることもできます。

預かった源泉徴収税は毎月納税するのが原則なのですが、
零細だと(給与支給人員が10名未満)、
手続きをすれば7月と翌年1月の2度に
まとめて納税することができます。ありがたいです。

7月の納税は、1月~6月の源泉徴収税を、
全員分足し合わせた金額そのままで大丈夫ですが、
1月納税分は、個別に年末調整を行った上で、
全員分を足し合わせて納税します。

年末調整は、社員から必要な書類を集めてしまえば、
それほど難しくはありません・・・というのは嘘で、
年末調整計算用のエクセルフォーマットを
ネットから頂いてきて、それを使うと簡単です
(無料なのに毎年更新してくれていて、奇特な方です)。

納税時は納付書に、6カ月分の給与支給総額と、
源泉徴収税額の総額、年末調整した金額の総額、
最終的な納付金額を手書きして、
銀行窓口に持って行って支払っています。

年末調整時の還付金額が大きいと、
1月納税分がマイナスになることが稀にあります
(リーゾでも過去2回ほどありました)。
払い過ぎてる!どうしよう?
と慌てて還付請求しましたが、
そんなことしなくても、次の納税分を減らせばよいだけでした。

最近はe-Taxというシステムを使うことが推奨されていて、
義務化される企業規模がじわじわ小さくなっています。
そろそろ導入した方がよいかもしれません。
使ってみて便利だったら、またご紹介します。

源泉徴収税額表(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2020/02.htm
源泉徴収のしかた(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/shikata_r04/01.htm


■ コーヒーブレイク━━━━・・・・・‥‥‥……

イノ米(ベイ)ション

仕事がら、お米に関わる情報はついついチェックしてしまいます。
先日は、日本経済新聞の一面に「進め!イノ米ション」
(イノベイション、と読ませるらしい)
という見出しをみつけ、熟読してしまいました。

イノ米ションとは、新たな発想と技術を用いたコメビジネスのこと。
ネット検索してもヒットしないことから、
この記事を書いた記者さんが考えた造語のようです。

記事にあったのは、
・米の特質をレーダーチャートで示して用途別に販売する店
・玄米100%の麺
・米を配合したビールをつくる
・米を配合したプラスチックを作るといったものでした
(・・・新規性はそんなにないかも)。

玄米を、製麺できるレベルの微細な粉末にするのは難しかったでしょうし、
コーンスターチではなく米をビールに配合したのは初めてかも。
廃棄される米がプラスチックにアップサイクルされるのは
SDGsの観点からも良いことだと思います。

これを読んでいて、以前、将来石油が足りなくなる危機感から
バイオマス燃料開発が流行り、
その際、「コメ醗酵エタノールをガソリンに」
という研究プロジェクトが立ち上がったのを思い出しました。

すでにイネ研究に関わる立場で、酒飲みでもあった私としては、
「コメ醗酵エタノールってお酒じゃん!
ガソリンにするくらいなら私が飲んで車を押す!」
などと息巻いておりました(若気の至り)。

もうひとつ思い出したのが、
コメ余りに困った農水省が米粉活用に力を入れていた時期のこと。
パンや麺にすればよいのだがコストが合わないことから、
超多収の品種の育種に研究予算がついていて、
うーん、それは本末転倒では・・・と感じていました。

国家レベルでの議論を、実用化、
ましてやビジネスとして成り立つ形に
育てるのって難しいのですよね。
地域活性化とかで一時的に盛り上がっても、
予算の切れ目でしぼんでしまうのはよくある話です。

翻って、今回のイノ米ションは、
どれも民間レベルで小さく始めているものばかり。
社会的意義を意識しつつも、楽しんで取り組んで、
できたものを面白がったり喜んだりする人がいるのですから、
それはすばらしいことです。

ネットで検索してみたら、
微細なコメ粉をパルプに混ぜて製紙する、
その名も「kome-kami」なんてものもありました。
質感が良いので、高級菓子のカードや箱などに使われているようです。

個人的には、コメを工業原料として見るのは悲しいのですが、
混ぜることで既存品よりクオリティが上がり、
高付加価値製品になるのであれば、
活用法としてありだと思います。

そのうえでですが、やはり日本のコメは世界に誇れるおいしい食品。
米作りに適した、恵まれた自然環境に、
長年培われた栽培技術、知識、ノウハウ、
最新の保存技術と育種技術、
ついでに流行りの「スマート農業」も駆使して、

『付加価値の高い、値段が高くても喜ばれるコメ』
『海外でも高く売れる、差別化できるコメ』

を、作ってほしいです。

それでも余ってしまうようなら、

『長期保管していてもおいしく食べられる安いコメ』

を供給することも、今の技術なら問題なくできると思います。
(要するに、おコメはごはんで食べてもらってなんぼ!です)

いずれにしても、コメのことを真剣に考えている人が
たくさんいるのはとてもうれしいこと。
手前みそですが、リーゾでは、
『日本の美しい水田を次の世代に引き継いでいけるように』、
という理念で美食同玄米をやっています。
他の皆さんの活動も応援していきたいです。


■ リーゾからのお知らせ  ━━━━━・・・・・・・‥‥……

〇実験補助セミナー開講中

少人数で質問も実習もたっぷりできるセミプライベートレッスン。
今年度は感染対策を講じた上で開講しております。

最終回で「PCR」を行うはずだった1月19日(水)は、
感染拡大状況を鑑みて1カ月延期し、2月16日(水)
に行います。(※受講申込は締め切りました)

今のところ、来年度も同じ内容で開催予定です。詳しくはこちら
https://rizo.co.jp/seminer.html


○交配袋、特注品はお早めのご依頼を

交配袋特注品のご注文が大変混みあっております。
年度内納品ご希望の場合は、念のため、
注文の前に相談してください
(年度内納品はそろそろ難しくなりそうな気配です)。

交配袋のページはこちらですhttp://www.rizo.co.jp/crossingbag.html


〇美食同玄米インスタグラムのご報告

『1日1投稿で100日継続』(お百度参り)を掲げて
スタートした美食同玄米インスタグラム。
1日1投稿は途中で挫折したものの、
100投稿は達成しました。
現在、投稿数104で、フォロワー数133。
広告効果は、ちょっぴり感じています。

インスタグラム、ゆるゆると継続中です。
https://www.instagram.com/rizonookome/

通販はこちらから。美食同玄米販売サイト(BASE)
https://rizonookome.rizo.co.jp/


■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━・・・・‥‥‥…

○最近、「片付け」がマイブーム。
ポイントは「気持ちの良いものだけと暮らす」で、
視界に入ってストレスを感じるものは、
徹底的に捨てるかしまうか覆うかして見えなくする。
これだけで、嘘みたいに快適に。
自室で味をしめ、共有部分、職場へとじわじわ実践中です。

○学部生が研究活動を行う
筑波大「先導的研究者体験プログラム」
の評価委員を、今年もやらせていただきました。
昨年からオンラインになり、
一日中モニタを見て肩がガチガチ。
でも、研究成果を語る若者の初々しさに、
私もがんばろ!と思える効果は絶大です。

○コメの活用に関連して。
昔の旅人や忍者が食糧として携帯していた「糒(ほしいい)」は、
白飯を水洗いし、ばらしながら乾燥させたもの。
今で言う「アルファ米」で、水や熱湯でごはんに戻ります。
漢字の成り立ちは「備える米」というのも納得。
家庭でも作れるレシピがネットにあります。
塩昆布が合うそうです。

○最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもリーゾとすいすい通信をどうぞよろしくお願いいたします。

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すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、
および関係者の皆様にお送りしています。
この号は997名様に配信しました。
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ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。
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【すいすい通信】

発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日

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