すいすい通信 vol.156 2024年3月号
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☆ すいすい通信 ☆ vol.156 2024年3月6日配信
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こんにちは。リーゾの門奈です。
今月の「すいすい通信」をお届けいたします。
_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_//_/_/_/_/_/_/_/
・特集・・・・・・・・・・植物種のDNA鑑定、その後の後
・零細起業のあれこれ・・・・・・・セルフメダカすくい終了
・コーヒーブレイク・・・・ブルシットジョブとシットジョブ
・リーゾからのお知らせ
■ 特 集 ━━━━━━━・・・・‥‥‥………………………
植物種のDNA鑑定、その後の後
リーゾの隠れた人気サービス「植物種のDNA鑑定」。
正体がわからない植物体試料からDNAを抽出し、
塩基配列を読んでデータベースから同じ配列を探して
種(しゅ)を同定するサービスです。
まず、2019年に提供を開始した頃のご紹介記事はこちら
https://rizo.co.jp/suisui99.html
最初は、庭の草取りや、
夏休みの自由研究で採取した植物の鑑定など、
個人からのご利用をイメージしていました。
そして、2022年に「その後」の状況をご報告したのがこちら。
https://rizo.co.jp/suisui134.html
始めてみたら、ご依頼の9割方はビジネスユース。
種を特定したい切実なご事情もさまざまなら、
試料の種類や状態もさまざまです。
難しい材料からの抽出法検討の
貴重なお題になっているだけでなく、
「こんなニーズがあるのか!」と、
経営者としても大変勉強になっています。
最近のご依頼例としては、
・麻紐(輸入品)の原材料が「麻」と確認したい
・出荷した製品外箱についていた「種子状のもの」が
どこでついた何なのか知りたい
・建築資材の原料に混入していた木片の混入経路が知りたい
・ドライフラワー(輸入品)の植物種が知りたい
・コーヒー豆(生豆)がアラビカ種かロブスタ種かを知りたい
・ハーブ(スパイス)の原材料確認をしたい
などがありました。
どうも、植物でできた雑貨類を輸入するときには、
植物種を確認する必要があるらしいです。
また、「植物様の異物の混入・付着」がクレームになり、
混入経路や原因の特定のため、
まずは正体を知りたいという需要があるようです。
お引き受けには至らないのですが、
「同一性証明(これとこれが同じ個体由来か確かめたい)」や、
「品種の特定」のご相談も、相変わらず多いです。
「DNAは万能」というイメージがあるようです
(そんなことはまったくないんですが)。
ところで、検査サービスをしていると、
「こういう鑑定結果が欲しい」という
依頼者の意図が透けて見えてしまうことがあります。
忖度した方が商売にはなるんだろうなと思いつつ、
そこは越えてはいけない一線。
「得られた結果のみに忠実に報告する」
と固く決めています(当然ですね)。
試料となる植物片の中には、
カビてしまっているものもあります。
これまでは、少しでもカビていると、
植物のDNAにカビのDNAが混ざって抽出されてしまい、
対象領域の塩基配列がきれいに読めず、
「鑑定不能」となることがありました。
ところが最近、「trnL」という別の遺伝子領域を使うことで、
カビ問題が解決できることがわかりました。
理由はシンプルで、trnLは葉緑体上の遺伝子だから。
カビには葉緑体がないので、
葉緑体を持つ植物のDNAだけを解析できる、
という理屈です。
実はこれまでも、葉緑体上のrbcLという
遺伝子領域の解析はしていたのですが、
状態の悪いDNAだと解析できない、
種間変異が少なく候補となる種がどっさり残ってしまう、
という問題がありました。
trnLはこの問題点も若干ながら改善できそうです。
さて、さらに話が飛びますが、
「製造工程で混入する異物」は、
植物由来のものとは限りません。
動物の毛とか、虫の死骸とかもあります。
そういった動物由来の異物についても、
生物種を同定する方法があります。
実は最近、別の仕事の関係で、
動物種の鑑定ができる系を立ち上げました。
動物種のDNA鑑定は他社(複数)が
サービス提供しているため、
公にメニューに入れる予定はないですが
(リーゾは他社と競合しないのがポリシー)、
お困りのお客様がいらっしゃるなら喜んで。
お気軽に、ご相談ください。
植物種のDNA鑑定サービスの詳細はこちらです
https://rizo.co.jp/plantidentify.html
■ 零細起業のあれこれ ━━━━━・・・・・・・‥‥………
セルフメダカすくい終了
起業を志す読者のみなさまに、
リーゾの経験をお伝えしているコーナーです。
イオンモールつくば外部棟の農産物直売所「えるふ農国」で
2018年から提供してきた「セルフサービスメダカすくい」を、
昨秋に終了しました。
まず「セルフサービスメダカすくい」とは?ですが、
レジにてポイと袋をお金と交換でもらい、
メダカすくいを楽しみ、
すくえたら自分で袋に入れて持ち帰ってもらう
(すくえなかったら、スーパーボールをひとつ持ち帰れる)、
という仕組みにしたものです。
セルフにしたのは、
えるふ側の労力負担をお願いすることはできないため。
知恵を絞った結果が、おそらくメダカすくいとしては初の
「セルフサービス」になりました。
実現するには、手をかけなくても水が常にきれいに保たれ、
メダカが元気でいられることが必須です。
このため、リーゾの「ミニアクアリウム」の仕組みを池に応用。
餌やり、減ったメダカの追加、水の追加など
簡単なお世話を週1~2回、
品出しついでに10分程度行うだけで維持できるようにしました。
最初の頃は、入れるメダカの数が多すぎて
ソイル(底土)の浄化能力を超え、
大量死を起こしてしまったことも。
苦い経験を踏まえ、試行錯誤して、
生態系のバランスを取るコツがつかめてからは、
池の状態を良好に保てるようになりました。
最近では小さな「滝」も設置して、
買い物の合間に、水音を聴きながら休憩できる、
ちょっとした癒しのコーナーにもなってました。
なのに終了することになったのは、
一部のお客様のマナーの悪さがきっかけでした。
たとえば、次の方も楽しめるよう
「持ち帰りは1匹で」とお願いしているのに、
ごっそり持ち帰っている人がいたり。
(メダカすくいは、「メダカとのふれあいを楽しんでもらう」
という趣旨で、「1回100円」で提供してました)
すくえなかったお子様向けのスーパーボールは、
透明の箱に入れて池の横の台に置き、
「池に入れないで」と書いているにもかかわらず、
毎回池の中にぶちまけられていたり。
しまいには、前日まで元気だったメダカたちが、
何を入れられてしまったのか、一気に全滅する、
ということまで起こりました。
せめてレジから目の届くところに
池を移動できたら良かったのですが、
それも難しいということで、
お店側との合意のうえで平和的に終了となりました。
お店の人によれば、
試食や商品にいたずらする子どもを放置する親が
最近増えているそうです。
これも時代の流れとすれば少々残念です
(もちろんそんな人はごく一部で、
多くは良識あるお客様です)。
さて、「商売」の視点で
セルフサービスメダカすくいを振り返ってみます。
売上税込100円のうちえるふの手数料が20円。
ポイが10円、袋が5円、
メダカが1匹30円として残りは35円。
メダカをたくさん持っていかれると
一気に赤字なことがおわかりいただけると思います。
月100人として利益は3500円。
週1~2回、往復40分かけて通う人件費は出ません。
なのに続けていた意義は主にふたつあり、
ひとつはリーゾが出品している、ミ
ニアクアリウム、ミナミヌマエビ、ソイル、
水草、牡蠣殻、メダカのえさなどの購入への誘導です。
メダカを見たら、飼いたくなるのが人情というもの。
広告料と思えば、若干赤字でも問題なし、という判断です。
もうひとつは、最初に美食同玄米をお店に置いてくれた
えるふに対する恩返しです。
えるふに「楽しいことができるお店」という雰囲気を、
ささやかながらプラスしている、
と自負しておりました
(今は、孔雀小屋や蝶の楽園など、
他の生き物も加わった楽しい場所になってます)。
常設のセルフサービスメダカすくいは終了しましたが、
ミニアクアリウムコーナーは継続します。
大型連休や夏休みなどに、
もしお店から要請があれば、
期間限定イベント的に提供することもあるかもしれません。
もちろん、えるふとの縁をつないでくれた
「美食同玄米」コーナーも健在で、
玄米とパックごはん、揚げたがねは今後も置き続けます。
どうぞよろしくお願いいたします。
セルフサービスメダカすくいのこれまでの経緯
「いつでもメダカすくい」
https://rizo.co.jp/suisui98.html
「セルフメダカすくい報告」
https://rizo.co.jp/suisui102.html
■ コーヒーブレイク━━━━━・・・・・‥‥‥…
ブルシットジョブとシットジョブ
ブルシットジョブ(以下、BSJ)とは、
アメリカの人類学者デヴィッド・グレーバーによる著書の
タイトルともなった言葉で、その定義は
『被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、
完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態』
さらに、
『本人は、そうではないと取り繕わなければならないように
感じている』
と、・・・かなり辛口です。
BSJの説明ははしょりますが、
「とりまき」「脅し屋」「尻ぬぐい」「書類穴埋め人」
「タスクマスター」の5種類があるそうです。
「書類穴埋め人」で、若い頃に担当した、
研究プロジェクトの報告書のとりまとめ作業を思い出しました。
複数の研究機関から集めた報告内容をまとめて
一つの一太郎(←ありましたよね!)文書にする作業なのですが、
行頭揃えをスペースで行う癖のある先生がいらっしゃいまして
(・・・以下略。これがどんなに膨大で虚しい作業を生むか、
わかるひとにはわかると思います)。
「欠陥を取り繕うためだけに存在する仕事」という意味では、
「「尻ぬぐい」にも近かったかもしれません。
また、「参加しても一度も発言しない会議」も、
BSJっぽいです。
そんな会議ばかりでも、スケジュールが詰まっていると
「忙しく働いている」気分になりますよね。
世の中の2割以上の人が「自分の仕事はBSJ」と自覚し、
つらい思いをしていると言います。
労働者が不足しているというのに、
労働力の浪費ともいえるBSJが減らないのはなぜでしょうか。
ひとつは、「長時間労働は尊い」というコンセンサスです。
私自身、書類取りまとめの仕事のときは、
ぶつくさ言いながらも、
「遅くまで働いて偉いな私」
という気分になっていました。
早く仕事を片付けても早く帰れるわけではないならば、
終業時間まで忙しいふりをしよう、
という考え方も理解できます(虚しくなりそうですけど)。
もうひとつは、「BSJがなくなると、
管理職の仕事が奪われるから」。
BSJを作り出し、他人に与え、
なくならないようにする仕事が「タスクマスター」で、
その例として挙げられているのが「管理職」です。
たとえば過剰に報・連・相を求めたり、
不要な会議を設定したり、長引かせたり、
あるいは存在感を示すためだけにダメ出しをしたり・・・
がBSJ(プラス、部下のBSJも生む)
というのはありえそうです。
ところで、BSJと似た言葉に「シットジョブ」があります。
こちらは逆に、必要不可欠で有意義な仕事、
エッセンシャルワークを意味します
(低賃金で労働条件劣悪、尊敬もされないきつい仕事なので
「シット」らしいですが・・・)。
これを知って、家事はまさに家庭内シットジョブだと感じました。
ゴミ捨て、洗濯、掃除、買い物、料理、
その他もろもろ、毎日山積みで、
やっと片付けても翌日(あるいは数時間後)にはもと通り。
まるでタイムリープです。
家の動的平衡を維持するための
「無限のあとかたづけ」「ひたすらゼロに戻す仕事」
ともいえる家事に、必須なのに評価も感謝もされにくい仕事って
あるよなあ、としみじみ。
社会インフラを維持していただいている
エッセンシャルワーカーの皆さんに、
ちゃんと目を向けて、感謝していかねばと思います。
社会でも家庭でも
「BSJはなるべく減らすようにして、
浮いたお金と労働力をシットジョブに回す」
ということができたら理想的ですね。
そう単純には行かないでしょうけれど。
せめてリーゾ社内ではできる限りBSJを発生させず、
顧客満足のためのエッセンシャルな業務に注力し、
密度を上げて働いた分早く帰る、
を実践していきたいと思います。
参考書籍
「ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論」
デヴィッド・グレーバー著 岩波書店
■ リーゾからのお知らせ ━━━━━・・・・・・・‥‥……
〇実験補助セミナー 来期も開講
文系でも未経験でも大丈夫!
子育て中のお母さんでも働きやすい、
研究機関での実験補助のお仕事の基礎を教える、
主に女性向けのセミナー。
お仕事紹介や就職活動の支援つきです。
第3水曜日の10時~11時半、受講料2200円(税込)。
定員4名。全8回シリーズです(単発受講可)。
新年度は5月から開催します。
詳細はこちらです。
https://rizo.co.jp/seminer.html
〇春休みゆる企画 ミニアクアリウムづくり教室
小さな生態系「ミニアクアリウム」の原理と作り方、
上手な管理方法を伝授します。
会場はリーゾ、日時は相談のうえ随時、
材料&講習費は税込1100円、所要時間20分程度です。
春休み中の親子を想定してますが、
ご夫婦でもおひとりでもどうぞ。
やってみたいという方は、
春休み期間(3月25日~4月5日)中で
ご希望の日時をいくつかメールにてお知らせください。
個人的な趣味企画につき、行き届かぬ点はお許しを。
■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━・・・・‥‥‥…
○最近はまっているのが足袋ソックス。
外反母趾対策で買ったのですが、
親指が分かれているだけなのになぜか足が冷えにくくてとても快適。
同時に買った足袋スリッパがまたさらに快適で、
気に入りすぎて足袋ソックスオンリーの日々。
それまで使っていた普通の靴下たちをどうするかが目下の悩みです。
○前号「居抜き」の話題で取り上げた
リッチモンド2番街の入居者募集ページです。
旧リーゾの作業部屋が、居心地の良さそうなバーに
変身しているのがわかります。
入居者が決まりそうですので、ページが消えないうちにどうぞ。
https://www.athome.co.jp/rent_store/6972460778/?BKLISTID=001LPC&SEARCHDIV=1&sref=list_simple
○年度末が近づき怒涛の納品ラッシュの2月が終わりました。
気づけは花壇にはチューリップが芽吹き、
メダカが水面近くを泳ぎ、筑波大生は引越を始めていて、
すっかり春です。
今年度もすいすい通信におつきあいいただき
ありがとうございました。
来年度もお邪魔にならない程度に続けていきたいと
思っております。
○最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもリーゾとすいすい通信を
どうぞよろしくお願いいたします。
すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、
および関係者の皆様にお送りしています。
お知り合いで、「すいすい通信」の配信を
承認していただける方がいらっしゃいましたら、
ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。
配信登録はこちらからできます。
http://rizo.sakura.ne.jp/vd/entry/e/bS8PtaC5kPRXp3iy/
-----------------------------------------------------------
【すいすい通信】
発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日
ご意見ご感想、および本メールマガジンの解除はこちらまで
info(at)rizo.co.jp
【発行元】
株式会社リーゾ
〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-9-5-A03
TEL:029-852-9351 FAX:029-898-9161
MAIL:info(at)rizo.co.jp
HP:http://www.rizo.co.jp/
※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで
最適に表示されます。
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Copyright(C) Rizo Inc. All rights reserved.
☆ すいすい通信 ☆ vol.156 2024年3月6日配信
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こんにちは。リーゾの門奈です。
今月の「すいすい通信」をお届けいたします。
_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_//_/_/_/_/_/_/_/
・特集・・・・・・・・・・植物種のDNA鑑定、その後の後
・零細起業のあれこれ・・・・・・・セルフメダカすくい終了
・コーヒーブレイク・・・・ブルシットジョブとシットジョブ
・リーゾからのお知らせ
■ 特 集 ━━━━━━━・・・・‥‥‥………………………
植物種のDNA鑑定、その後の後
リーゾの隠れた人気サービス「植物種のDNA鑑定」。
正体がわからない植物体試料からDNAを抽出し、
塩基配列を読んでデータベースから同じ配列を探して
種(しゅ)を同定するサービスです。
まず、2019年に提供を開始した頃のご紹介記事はこちら
https://rizo.co.jp/suisui99.html
最初は、庭の草取りや、
夏休みの自由研究で採取した植物の鑑定など、
個人からのご利用をイメージしていました。
そして、2022年に「その後」の状況をご報告したのがこちら。
https://rizo.co.jp/suisui134.html
始めてみたら、ご依頼の9割方はビジネスユース。
種を特定したい切実なご事情もさまざまなら、
試料の種類や状態もさまざまです。
難しい材料からの抽出法検討の
貴重なお題になっているだけでなく、
「こんなニーズがあるのか!」と、
経営者としても大変勉強になっています。
最近のご依頼例としては、
・麻紐(輸入品)の原材料が「麻」と確認したい
・出荷した製品外箱についていた「種子状のもの」が
どこでついた何なのか知りたい
・建築資材の原料に混入していた木片の混入経路が知りたい
・ドライフラワー(輸入品)の植物種が知りたい
・コーヒー豆(生豆)がアラビカ種かロブスタ種かを知りたい
・ハーブ(スパイス)の原材料確認をしたい
などがありました。
どうも、植物でできた雑貨類を輸入するときには、
植物種を確認する必要があるらしいです。
また、「植物様の異物の混入・付着」がクレームになり、
混入経路や原因の特定のため、
まずは正体を知りたいという需要があるようです。
お引き受けには至らないのですが、
「同一性証明(これとこれが同じ個体由来か確かめたい)」や、
「品種の特定」のご相談も、相変わらず多いです。
「DNAは万能」というイメージがあるようです
(そんなことはまったくないんですが)。
ところで、検査サービスをしていると、
「こういう鑑定結果が欲しい」という
依頼者の意図が透けて見えてしまうことがあります。
忖度した方が商売にはなるんだろうなと思いつつ、
そこは越えてはいけない一線。
「得られた結果のみに忠実に報告する」
と固く決めています(当然ですね)。
試料となる植物片の中には、
カビてしまっているものもあります。
これまでは、少しでもカビていると、
植物のDNAにカビのDNAが混ざって抽出されてしまい、
対象領域の塩基配列がきれいに読めず、
「鑑定不能」となることがありました。
ところが最近、「trnL」という別の遺伝子領域を使うことで、
カビ問題が解決できることがわかりました。
理由はシンプルで、trnLは葉緑体上の遺伝子だから。
カビには葉緑体がないので、
葉緑体を持つ植物のDNAだけを解析できる、
という理屈です。
実はこれまでも、葉緑体上のrbcLという
遺伝子領域の解析はしていたのですが、
状態の悪いDNAだと解析できない、
種間変異が少なく候補となる種がどっさり残ってしまう、
という問題がありました。
trnLはこの問題点も若干ながら改善できそうです。
さて、さらに話が飛びますが、
「製造工程で混入する異物」は、
植物由来のものとは限りません。
動物の毛とか、虫の死骸とかもあります。
そういった動物由来の異物についても、
生物種を同定する方法があります。
実は最近、別の仕事の関係で、
動物種の鑑定ができる系を立ち上げました。
動物種のDNA鑑定は他社(複数)が
サービス提供しているため、
公にメニューに入れる予定はないですが
(リーゾは他社と競合しないのがポリシー)、
お困りのお客様がいらっしゃるなら喜んで。
お気軽に、ご相談ください。
植物種のDNA鑑定サービスの詳細はこちらです
https://rizo.co.jp/plantidentify.html
■ 零細起業のあれこれ ━━━━━・・・・・・・‥‥………
セルフメダカすくい終了
起業を志す読者のみなさまに、
リーゾの経験をお伝えしているコーナーです。
イオンモールつくば外部棟の農産物直売所「えるふ農国」で
2018年から提供してきた「セルフサービスメダカすくい」を、
昨秋に終了しました。
まず「セルフサービスメダカすくい」とは?ですが、
レジにてポイと袋をお金と交換でもらい、
メダカすくいを楽しみ、
すくえたら自分で袋に入れて持ち帰ってもらう
(すくえなかったら、スーパーボールをひとつ持ち帰れる)、
という仕組みにしたものです。
セルフにしたのは、
えるふ側の労力負担をお願いすることはできないため。
知恵を絞った結果が、おそらくメダカすくいとしては初の
「セルフサービス」になりました。
実現するには、手をかけなくても水が常にきれいに保たれ、
メダカが元気でいられることが必須です。
このため、リーゾの「ミニアクアリウム」の仕組みを池に応用。
餌やり、減ったメダカの追加、水の追加など
簡単なお世話を週1~2回、
品出しついでに10分程度行うだけで維持できるようにしました。
最初の頃は、入れるメダカの数が多すぎて
ソイル(底土)の浄化能力を超え、
大量死を起こしてしまったことも。
苦い経験を踏まえ、試行錯誤して、
生態系のバランスを取るコツがつかめてからは、
池の状態を良好に保てるようになりました。
最近では小さな「滝」も設置して、
買い物の合間に、水音を聴きながら休憩できる、
ちょっとした癒しのコーナーにもなってました。
なのに終了することになったのは、
一部のお客様のマナーの悪さがきっかけでした。
たとえば、次の方も楽しめるよう
「持ち帰りは1匹で」とお願いしているのに、
ごっそり持ち帰っている人がいたり。
(メダカすくいは、「メダカとのふれあいを楽しんでもらう」
という趣旨で、「1回100円」で提供してました)
すくえなかったお子様向けのスーパーボールは、
透明の箱に入れて池の横の台に置き、
「池に入れないで」と書いているにもかかわらず、
毎回池の中にぶちまけられていたり。
しまいには、前日まで元気だったメダカたちが、
何を入れられてしまったのか、一気に全滅する、
ということまで起こりました。
せめてレジから目の届くところに
池を移動できたら良かったのですが、
それも難しいということで、
お店側との合意のうえで平和的に終了となりました。
お店の人によれば、
試食や商品にいたずらする子どもを放置する親が
最近増えているそうです。
これも時代の流れとすれば少々残念です
(もちろんそんな人はごく一部で、
多くは良識あるお客様です)。
さて、「商売」の視点で
セルフサービスメダカすくいを振り返ってみます。
売上税込100円のうちえるふの手数料が20円。
ポイが10円、袋が5円、
メダカが1匹30円として残りは35円。
メダカをたくさん持っていかれると
一気に赤字なことがおわかりいただけると思います。
月100人として利益は3500円。
週1~2回、往復40分かけて通う人件費は出ません。
なのに続けていた意義は主にふたつあり、
ひとつはリーゾが出品している、ミ
ニアクアリウム、ミナミヌマエビ、ソイル、
水草、牡蠣殻、メダカのえさなどの購入への誘導です。
メダカを見たら、飼いたくなるのが人情というもの。
広告料と思えば、若干赤字でも問題なし、という判断です。
もうひとつは、最初に美食同玄米をお店に置いてくれた
えるふに対する恩返しです。
えるふに「楽しいことができるお店」という雰囲気を、
ささやかながらプラスしている、
と自負しておりました
(今は、孔雀小屋や蝶の楽園など、
他の生き物も加わった楽しい場所になってます)。
常設のセルフサービスメダカすくいは終了しましたが、
ミニアクアリウムコーナーは継続します。
大型連休や夏休みなどに、
もしお店から要請があれば、
期間限定イベント的に提供することもあるかもしれません。
もちろん、えるふとの縁をつないでくれた
「美食同玄米」コーナーも健在で、
玄米とパックごはん、揚げたがねは今後も置き続けます。
どうぞよろしくお願いいたします。
セルフサービスメダカすくいのこれまでの経緯
「いつでもメダカすくい」
https://rizo.co.jp/suisui98.html
「セルフメダカすくい報告」
https://rizo.co.jp/suisui102.html
■ コーヒーブレイク━━━━━・・・・・‥‥‥…
ブルシットジョブとシットジョブ
ブルシットジョブ(以下、BSJ)とは、
アメリカの人類学者デヴィッド・グレーバーによる著書の
タイトルともなった言葉で、その定義は
『被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、
完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態』
さらに、
『本人は、そうではないと取り繕わなければならないように
感じている』
と、・・・かなり辛口です。
BSJの説明ははしょりますが、
「とりまき」「脅し屋」「尻ぬぐい」「書類穴埋め人」
「タスクマスター」の5種類があるそうです。
「書類穴埋め人」で、若い頃に担当した、
研究プロジェクトの報告書のとりまとめ作業を思い出しました。
複数の研究機関から集めた報告内容をまとめて
一つの一太郎(←ありましたよね!)文書にする作業なのですが、
行頭揃えをスペースで行う癖のある先生がいらっしゃいまして
(・・・以下略。これがどんなに膨大で虚しい作業を生むか、
わかるひとにはわかると思います)。
「欠陥を取り繕うためだけに存在する仕事」という意味では、
「「尻ぬぐい」にも近かったかもしれません。
また、「参加しても一度も発言しない会議」も、
BSJっぽいです。
そんな会議ばかりでも、スケジュールが詰まっていると
「忙しく働いている」気分になりますよね。
世の中の2割以上の人が「自分の仕事はBSJ」と自覚し、
つらい思いをしていると言います。
労働者が不足しているというのに、
労働力の浪費ともいえるBSJが減らないのはなぜでしょうか。
ひとつは、「長時間労働は尊い」というコンセンサスです。
私自身、書類取りまとめの仕事のときは、
ぶつくさ言いながらも、
「遅くまで働いて偉いな私」
という気分になっていました。
早く仕事を片付けても早く帰れるわけではないならば、
終業時間まで忙しいふりをしよう、
という考え方も理解できます(虚しくなりそうですけど)。
もうひとつは、「BSJがなくなると、
管理職の仕事が奪われるから」。
BSJを作り出し、他人に与え、
なくならないようにする仕事が「タスクマスター」で、
その例として挙げられているのが「管理職」です。
たとえば過剰に報・連・相を求めたり、
不要な会議を設定したり、長引かせたり、
あるいは存在感を示すためだけにダメ出しをしたり・・・
がBSJ(プラス、部下のBSJも生む)
というのはありえそうです。
ところで、BSJと似た言葉に「シットジョブ」があります。
こちらは逆に、必要不可欠で有意義な仕事、
エッセンシャルワークを意味します
(低賃金で労働条件劣悪、尊敬もされないきつい仕事なので
「シット」らしいですが・・・)。
これを知って、家事はまさに家庭内シットジョブだと感じました。
ゴミ捨て、洗濯、掃除、買い物、料理、
その他もろもろ、毎日山積みで、
やっと片付けても翌日(あるいは数時間後)にはもと通り。
まるでタイムリープです。
家の動的平衡を維持するための
「無限のあとかたづけ」「ひたすらゼロに戻す仕事」
ともいえる家事に、必須なのに評価も感謝もされにくい仕事って
あるよなあ、としみじみ。
社会インフラを維持していただいている
エッセンシャルワーカーの皆さんに、
ちゃんと目を向けて、感謝していかねばと思います。
社会でも家庭でも
「BSJはなるべく減らすようにして、
浮いたお金と労働力をシットジョブに回す」
ということができたら理想的ですね。
そう単純には行かないでしょうけれど。
せめてリーゾ社内ではできる限りBSJを発生させず、
顧客満足のためのエッセンシャルな業務に注力し、
密度を上げて働いた分早く帰る、
を実践していきたいと思います。
参考書籍
「ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論」
デヴィッド・グレーバー著 岩波書店
■ リーゾからのお知らせ ━━━━━・・・・・・・‥‥……
〇実験補助セミナー 来期も開講
文系でも未経験でも大丈夫!
子育て中のお母さんでも働きやすい、
研究機関での実験補助のお仕事の基礎を教える、
主に女性向けのセミナー。
お仕事紹介や就職活動の支援つきです。
第3水曜日の10時~11時半、受講料2200円(税込)。
定員4名。全8回シリーズです(単発受講可)。
新年度は5月から開催します。
詳細はこちらです。
https://rizo.co.jp/seminer.html
〇春休みゆる企画 ミニアクアリウムづくり教室
小さな生態系「ミニアクアリウム」の原理と作り方、
上手な管理方法を伝授します。
会場はリーゾ、日時は相談のうえ随時、
材料&講習費は税込1100円、所要時間20分程度です。
春休み中の親子を想定してますが、
ご夫婦でもおひとりでもどうぞ。
やってみたいという方は、
春休み期間(3月25日~4月5日)中で
ご希望の日時をいくつかメールにてお知らせください。
個人的な趣味企画につき、行き届かぬ点はお許しを。
■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━・・・・‥‥‥…
○最近はまっているのが足袋ソックス。
外反母趾対策で買ったのですが、
親指が分かれているだけなのになぜか足が冷えにくくてとても快適。
同時に買った足袋スリッパがまたさらに快適で、
気に入りすぎて足袋ソックスオンリーの日々。
それまで使っていた普通の靴下たちをどうするかが目下の悩みです。
○前号「居抜き」の話題で取り上げた
リッチモンド2番街の入居者募集ページです。
旧リーゾの作業部屋が、居心地の良さそうなバーに
変身しているのがわかります。
入居者が決まりそうですので、ページが消えないうちにどうぞ。
https://www.athome.co.jp/rent_store/6972460778/?BKLISTID=001LPC&SEARCHDIV=1&sref=list_simple
○年度末が近づき怒涛の納品ラッシュの2月が終わりました。
気づけは花壇にはチューリップが芽吹き、
メダカが水面近くを泳ぎ、筑波大生は引越を始めていて、
すっかり春です。
今年度もすいすい通信におつきあいいただき
ありがとうございました。
来年度もお邪魔にならない程度に続けていきたいと
思っております。
○最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもリーゾとすいすい通信を
どうぞよろしくお願いいたします。
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【すいすい通信】
発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日
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