すいすい通信 vol.165 2024年12月号

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☆ すいすい通信 ☆ vol.165 2024年12月4日配信
 
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こんにちは。リーゾの門奈です。

今月の「すいすい通信」をお届けいたします。


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・特集・・・・・・・・・・・・・・環境DNA分析のお手伝い
・零細起業のあれこれ・・・・・・・・定額減税、企業側の実務
・コーヒーブレイク・・・・・・・・・・・介護はチームプレー
・リーゾからのお知らせ


■ 特 集 ━━━━━━━・・・・‥‥‥………………………

環境DNA分析のお手伝い

リーゾ設立当時からご提供している
「すにっぷすいすい」というサービスがあります。

すにっぷすいすいとは、SNP(スニップ、一塩基多型)を
自分の手元ですいすいタイピングできる、を意味しており、
目的の遺伝子型だけを増幅する
「アレル特異的PCRプライマー」を作成するサービスです。

『だったらこんなこともできるのでは?』という
お客様の声にお応えしていろいろやってきましたが、
そのひとつが、環境DNA分析用プライマーの作成です。

環境DNAとは、土壌や湖沼水など、
多様な生物種を含む環境材料から、
全部ひっくるめて抽出したDNAのこと。
その中にどんな生物種がどのくらい存在しているのかを調べるのが、
環境DNA分析です。

リーゾでできるのは、目的の生物種のDNAだけが
増幅するプライマーの作成。
なのですが、残念ながら「すべての(他の)生物種」を
識別することはできません。
プライマー部分が、目的のものと全く同じ配列を持つ生物種が、
地球上に絶対に存在しません、とは言い切れないからです。

このため、お客様には、
「識別したい(相手の)生物種」
のリストをいただきます。
研究対象となる環境にいそうな生物種の中で、
目的の種と近縁のものを挙げていただくことが多いです。
(遠縁のものが間違って増える可能性は非常に低い)

リスト上の生物種の遺伝子配列をデータベースから引き出し、
種内変異をつぶしたうえで、アライメントを取り、
目的の生物種特異的な「種間変異」を見つけ出します。

そこからは通常の「すにっぷすいすい」と同様の手法で、
種特異的に増幅するプライマーを設計します。

最後に識別したい相手を含めたDNAを並べてPCRを行い、
本当に目的の種だけが増幅する反応条件を確認して完成です。

これまでにお手伝いしたご研究の例として、
国内の希少な淡水魚種である「スイゲンゼニタナゴ」
を検出するプライマーを作成しました。

希少な魚を捕獲することなく、水中のDNAを調べるだけで、
スイゲンゼニタナゴがいるのか?どのくらいいるのか?
生育状況を効率的にモニタリングできるようになりました。
(岡山大学と農研機構の共同研究成果です)

ほかには、同一環境下で生息する各種植物や水生動物を、
「相互識別」するプライマーなども作りました。
余談ですが、ミシシッピアカミミガメの糞から、
ハスのDNAを検出できたそうです
(「食ったのはお前か!」の動かぬ証拠)。

このたび、「第7回環境DNA学会つくば大会」にて、
ささやかながら企業展示をさせていただきました。
環境DNA学に関わる皆さまにご興味もっていただけることは?
と考えるうちに、そういえばこんなことやったなあ!
と思い出した次第です。

ご紹介したスイゲンゼニタナゴのご研究の詳細はこちらです
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1032.html

すにっぷすいすいのご案内はこちらです
https://rizo.co.jp/SNPs-ici.html

※その他、DNA抽出、PCR、遺伝子型タイピング等、
農学研究界のよろず雑用お引き受けしております。
お気軽にご相談ください。


■ 零細起業のあれこれ  ━━━━━・・・・・・・‥‥………

定額減税、企業側の実務

近年の記録的な物価高を背景に今年6月から実施されている、
納税者を対象とした所得税(国税)3万円、
個人住民税(地方税)1万円の特別控除が、
いわゆる「定額減税」です。

読者のみなさんも、きっとすでに恩恵を
受けていることと思います。

が、定額減税をするために、雇用主側では何をしているのか?
については、おそらく考えたことがないのではと思います。

リーゾは給与を支払い、源泉徴収を行う立場なので、
この定額減税に、きっちり対応する必要がありました。

が、具体的にどうしたらいいのか?が皆目わからず、
経理担当とふたり、あたふたしながら勉強しました。

社員ごと&月ごとの減税額と残りの減税枠とを管理する
「定額減税事績簿」なるものが必要とわかり、
これエクセルで作るのか・・・とどんよりしていたところ、

ちゃんとネット上に便利なひな形がたくさんアップされており、
その中からリーゾのような零細に向いたシンプルなものを
見つけることができました。

実際にやったことは、給与支払いの都度、
この「定額減税事績簿」に給与と源泉税を入力して、
経理ソフトに転記し、いつも通り給与明細を発行、
銀行振込して終わりです。

やってみたら大したことなかった、と言いたいところですが、
悩ましいケースが出てくるものです。

(1)源泉税がちょっとだけの場合
源泉税が少額の場合は、6月~12月の税金を順次、
3万円から引いていっても、枠が残ってしまいます。
その場合は、1月~5月分の源泉税を還付する形で、
年末調整で処理します。
(それでも枠が残ってしまう場合は後述)

(2)そもそも源泉税が発生しない働き方の場合
源泉税が発生しないので、定額減税枠は「3万円」のまま残ります。
その人が誰かの被扶養者である場合には、
扶養者の減税枠が1人分(3万円)増えることで減税されます。
(誰の扶養でもない場合は後述)

(3)10月に入社したひとの場合
10月から入社した人も同様に12月まで処理すればいいの?
と調べたところ、雇用主が定額減税を行うのは
「6月以前に入社した人のみ」でした。

6月以降入社の人は、会社では月ごとの減税は行わず、
「年末調整で対応」するのが正しいようです。

さてここで、
(1)で「枠が残った人」と、
(2)で「誰の扶養でもない人」の減税分がどうなるのか?
ですが、今のところ
『あとで市町村から還付の連絡が来る(らしい)』
ということがわかりました。

市町村でチェックして、該当すると判断された人には、
給付の通知が来るそうです。

そこはもう、リーゾとしてはノータッチになりますけど、
市町村の労力と経費の負担は相当なものでしょう・・・。
これも当然、われわれの税金で賄われるわけですが、
少々無駄な使い方のような気がします。

ここまでは、給与所得者の話でしたが、
個人事業主の場合にはどうなるかと言いますと、、
予定納税(中間納税みたいなもの)がある場合はそこから、
足りない場合は確定納税時に、減税してもらえるようです。

とすると、副業で個人事業主やっているサラリーマンは、
本業と副業ダブルで減税してもらえるのか?
という疑問が生じますが、もちろんそんなことはありません。
(給与と副業収入、合わせて3万円の減税になります)

今回の定額減税は、納税者としてはありがたいのですが、
小さな会社では源泉徴収事務の手間もばかにならず、
正直に言うと、ちょっと迷惑な政策でした。

税金が減ったぶんが消費に回り、企業が儲かって、
法人税で元が取れる・・・というもくろみかもしれませんが、
事業者(と市町村)の苦労に見合うメリットが、
社会にもたらされると良いなあ、と思います。


■ コーヒーブレイク━━━━━・・・・・‥‥‥…‥…‥…

介護はチームプレー

入院を機にサービス付き高齢者向け住宅に3年入居するも、
「自宅に帰りたい」と主張し続けるのに根負けし、
一昨年12月にひとり暮らし復帰を実現した母のその後の話です。

半ば決死の覚悟(←私が。本人はやれる気まんまん)での
自宅ひとり暮らし決行でしたが、ふたを開けてみれば、
意外と平穏な生活が続くという、うれしい驚きがありました。

ところが、1年半が過ぎた5月の大型連休。
家の中でのちょっとした転倒で、
あっさり「大腿骨転子部骨折」(老人あるあるらしいです)。

本人の意思は「また歩きたい」とはっきりしており、
主治医の勧めもあって、すぐに手術してもらいました。
(ちなみに手術しない場合は3カ月寝たきりで、
それでも骨がつながる保証はないそうです)

で、当然ながら「退院後どうするか?」が問題となりました。

ひとり暮らし復帰時に、
「今度入院したら施設だからね!」と話していたものの、
施設に入るとどうなるかは経験済みです。
そんなに長くないかもしれない余生、1日でも長く、
できれば好きな場所で、幸せに過ごして欲しいと思い、
もうひと肌脱いでしまえ!と、またも娘が大奮闘しました。

階段昇降が必須な今の自宅(3階)への復帰は難しいと判断し、
たまたま出ていた同じ棟の1階の売り物件を、
精一杯値切り(『交渉にはバトナ※』を駆使)、
お金はこういう時に使ってこそ活きるものだと、
貯金をはたいて現金で購入しました。

母が住める状態にするための諸々の工事や準備のため、
病院見舞いのついでに毎週現地に通い、
なんとか3階から1階への引越を実施できました。

この間、入院先とは緊密に連絡を取り合っていて、
(理学療法士とソーシャルワーカーが家まで来て、
手すりや家具の位置を一緒に考えてくれたりもしました)
引越が済むまで退院を伸ばしてくれたり、
ひとり暮らし前提でのリハビリをしてくれたり。

ひとりで奮闘する覚悟だった私にとって、
一緒に前向きに考えて動いてくれる人がいる、
ということが、どれだけ支えになったかわかりません。

8月末に、無事退院。

当初は、小規模多機能のショートステイを利用しながら、
少しずつひとり暮らし復帰を目指す、という計画でしたが、
思ったより母の身体能力が落ちてしまっていることから、
基本的には施設で暮らし、週3回、日中だけ自宅で過ごす、
というペースで今のところ生活しています。

泊まりもしないのに大枚はたいた意味あったの?
・・・と言われそうですが、
負け惜しみではなく、結構大きなメリットが得られてます。

(1)訪問看護、訪問診療が利用できる
「訪問看護」や、新たに利用し始めた「訪問診療」は、
「自宅で受けること」が条件で、施設にいると利用できません。
でも予定日に家に連れてきてもらうことで、
利用可能になります(先生も看護師さんも事情は了解済み)。

(2)週3回外出するリズムができる
外出できる服装に着替え、外用の靴を履いて、
外気に当たり、少しでも外を歩いて、
時に近所の人と会ったりもすることが、
とてもよい良い刺激になっていると思います。

(3)娘の満足(←これがいちばんかも?)
施設だと、制限が厳しく、一緒にお茶すら飲めませんが、
自宅で過ごせることで、私が行くときには、
母の好物を持参していっしょにごはんを食べたり、
おしゃべりしたり、テレビを見たりできます。

父の時に何もしてあげられなかったことが悔やまれて、
母に孝行すれば、父も許してくれるであろうと・・・
まあこれも、結局のところ自分のためなんですよね。

こんな風に、なんとか生活できているのも、
ケアマネさん、ヘルパーさん、看護師さん、主治医とが、
手厚くサポートしてくださっているおかげです。

4年前の私は、母の介護にあたり、
「施設に入れるか仕事を辞めて引き受けるか」
の2択しかないと思っていましたが、

今は、介護とは外部専門家と「チームで行う」もので、
それがうまく回るようにマネジメントするのが
娘である私の仕事、と考えるようになりました。

高齢親の介護は、ゴールが見えない長距離走のようなもの。
ですが先日、主治医の先生との会話の中で、
「今日、幸せに生きてることがゴール」
という意見でまとまりました。

それは年齢問わず、言えることでは?
と思うと、人生が急に愛おしく見えてきた気がします。
(そういえばリーゾのゴールも「日々の幸せな存続」でした)。

この先どうなるのか、まだまだ不透明ではありますが、
決してひとりで抱え込まずに、する方もされる方も、
幸せな介護を全うできますように、と願っています。

※どうでもいいですが、「交渉にはバトナ」はこちらです
https://rizo.co.jp/suisui120.html


■ リーゾからのお知らせ  ━━━━━・・・・・・・‥‥……

〇美食同玄米、新米のご用意ができました

美食同玄米が、令和6年産(新米)に切り替わりました。
5年産より黒色が濃く、美食同玄米らしさが戻りました。

パックごはんは新ロットが製造でき、通販再開しております。
令和6年産美食同玄米もよろしくお願いいたします。

通販サイトはこちら
https://rizonookome.rizo.co.jp/

〇実験補助セミナー 開講中

文系でも未経験でも大丈夫!
子育て中のお母さんでも働きやすい、
研究機関での実験補助のお仕事の基礎を教える、
主に女性向けのセミナー。
お仕事紹介や就職活動の支援つきです。

第3水曜日の10時~11時半、定員4名。
全8回シリーズです(単発受講可)。

次回は12月18日、
「電気泳動」
を行います。

詳細はこちらです。
https://rizo.co.jp/seminer.html



■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━・・・・‥‥‥…

○月の前半、軽い風邪→咳喘息疑い→処方薬でV字回復、
・・・からの、後半、まさかの味覚障害!を発症しました。
何を食べても味がしない、美味しくないのが、
こんなにつらいとは思いませんでした。
「食欲の秋」どころではなく終わった11月、
若干ですが体重が減ったのが救いです。

○令和6年産の美食同玄米について、
「寒くなってから収穫すれば黒くなる」という仮説については、
5年産より黒みが強く、まずまず目論見どおりとなりました。
低温ストレス下でアントシアニンが発現することはよくあり、
有色素米でも同様のことが起こっているのではと思います。

○先月24日につくばマラソン(10キロ)を走りました。
体調がいまひとつで練習不足、直前まで出場を悩み、
途中棄権も頭に置きながら・・・ではありましたが、
結果、気持ちよく完走できて、ついでに体調も治りました。
次は、初のハーフマラソンに挑戦してみます。

○少し早いですが、どうぞよいお年をお迎えください。
例年通り年賀状は控え、すいすい通信新年号でご挨拶いたします。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。


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【すいすい通信】

 発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
 発行開始日:2011年4月7日

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