すいすい通信 vol.32 2013年11月号
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☆ すいすい通信 ☆ vol.32 2013年11月6日配信
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いつもご愛読ありがとうございます。
「すいすい通信」、11月号をお届けします!
_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ /_/_/
・特集・・・・・・・・・・リーゾのメセナ「カタルパ」親子鑑定のご報告
・コーヒーブレイク・・・・・・・・・・・・・「ワクワク」起業の大先輩
・りかじっけんレポート・・・・・・・・・・5年「もののとけ方」(後編)
・リーゾからのお知らせ
・編集後記
■ 特 集 ━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
リーゾのメセナ「カタルパ」親子鑑定のご報告
「すいすい通信」本年5月号でお伝えした、熊本県の樹木医さんからのカタル
パ(アメリカキササゲ)の親子鑑定のご依頼のお話、覚えておられるでしょう
か。リーゾ初めての文化貢献事業(メセナ)として取り組ませていただいたの
ですが、その後の展開をご報告します。
まずは簡単に背景のおさらいから・・・。
新島襄がアメリカのE.E.バーニー氏(オハイオ州の鉄道車両製造会社社長)か
ら取り寄せたカタルパの種子が、教え子である徳富蘇峰に譲られて、蘇峰の自
宅(現在は徳富記念園=熊本市)で巨木に成長。
残念ながら昭和33年の台風で倒れ、現在は2世が立派に育っています。
一方、熊本市内の菱形小学校の校庭にも、立派なカタルパの木が。
この木が、徳富記念園にある木と、血縁関係にあるのかどうかを知りたい、と
いうのがご依頼の趣旨でした。
「親樹」と、菱形小学校の「子樹(候補)」、それに血縁がありそうなもの、
なさそうなものを各地から集めていただき、計8種類のカタルパの葉のサンプ
ルからDNAを抽出しました。
最初は、ゲノム情報が皆無なことから「RAPD法」を試し、核ゲノムが同一では
ない(挿し木などではない)ことは確認できたのですが、それ以上の解析が難
しく悩んでいました。
そんな中、幸運にも樹木のゲノム解析の専門家とのご縁ができ、樹木の親子鑑
定によく使われる葉緑体ゲノム上の遺伝子を教えていただくことができたんで
す。
葉緑体ゲノムは、核ゲノムと異なり、「母系遺伝」をします。
つまり、父親が誰であろうと、母親が同じ、すなわち同じ木に実った種から生
える木は、同じ配列を持っていることになります。
教えていただいた遺伝子領域をPCRで増幅し、シーケンシングして比較してみ
たところ、「親樹」「子樹(候補)」の間で、塩基配列の違いは全く認められ
ませんでした。
もちろん、葉緑体ゲノムのこの領域の配列だけがたまたま一致していた、とい
う可能性はありますが(『違いがない』と言い切ることは常にとても難しい)、
「血縁関係にある可能性が否定されない」ことは事実。
はっきりしたことを言うにはもっと突っ込んで解析しなくてはならないものの
親子である可能性に夢をつなぐ結果となりました。
さらに意外ななことに、九州から広島まで散在するいろいろなカタルパさんた
ちにも、塩基配列の違いは見つからず、実は同じ母親を先祖に持っている可能
性が出てきました。
各地で大事にされている木がぜんぶ、新島襄ゆかりのカタルパさんかも?なん
て、可能性だけでも、ちょっとすてきな話ではないでしょうか。
この結果を依頼者の樹木医さんにお伝えしたところ、記念館や菱形小を含めご
関係の皆さんに大変喜んでいただけました。
「熊本日日新聞」に掲載された、樹木医さんのインタビュー記事も送っていた
だきました。
ただ粛々と実験をして、結果を出しただけなんですけれども、皆さんの夢をつ
なぐことができて、ほっとしています・・・。
リーゾ初めての「メセナ」、とりあえず大成功です。
すいすい通信読者の皆さんにも、有形無形の応援をいただいたこと、改めて感
謝いたします。
ブログでのご報告記事(もう少し詳しく、写真入り)はこちらです。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-4d19.html
■ コ ー ヒ ー ブ レ イ ク ━━━━━━・・・・・‥‥‥………
「ワクワク」起業の大先輩
9月、10月と、起業してからの日々を振り返ってお話する機会が3つも続き、
仕事(リーゾ)との関り方を改めて考える中で、とても励まされ良い影響を受
けた本があったことを思い出しました。
創業を志す方にお勧めの本・その15としてブログでもご紹介している、『ザ
ッポス』創業者のトニー・シェイさんの自伝です。
(「顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説 アマゾンを震撼させたサービ
スはいかに生まれたか」トニー・シェイ著 ダイヤモンド社)
『ザッポス』というのは、靴などを販売する米国のネット通販サービス会社な
のですが、あの『アマゾン』を震撼させたというすごい会社なんです。
この方、幼少の頃からビジネスが大好きで、子供時代には写真をカスタムメイ
ドのバッジに仕立てて通販するビジネスを立ち上げたり、学生時代にはバーチ
ャル勉強会を組織してクラウドソーシングの手法で試験対策本を作って売った
り、学生食堂の運営を受託して利益を上げたりしてたそうです。
大学卒業後、最初の会社の売却でミリオネアになり、学友との約束で盛大なク
ルージングパーティーを開催します。
そのクルージングパーティーで、「お金よりも情熱を大事にしたい」とはたと
気がつき、創業したのがかの『ザッポス』。
顧客に「ワオ!」(素晴らしい体験や商品を届けられたときの驚き、喜び)を
与え続ける、すごい会社を作り上げていくのですが・・・。
ところがその道のりは平坦ではなく、何度も資金ショートの危機に見舞われた
り、外部委託で大失敗をしたり。個人の資産を惜しげもなくつぎ込んで無一文
に近い状態にもなるのですが、不思議と悲壮な感じはせず、仲間を失うことも
なく、危機の中でもなぜかワクワク楽しそう。そして、いつの間にか乗り越え
て、巨額の対価でアマゾンに買収され、社員と手を取り合って大喜び。
アマゾンの傘下に入った後も『ザッポス』はそのまま、続いているそうです。
こんな経営の仕方ができる人って、芯となる部分にどんな信念があるのだろう
?と不思議に思いながら読んでいたのですが、最後になんと仏陀の言葉が引用
されていて、ようやく腑に落ちました。
『1本のろうそくは何千本ものろうそくに灯をともすことができる。しかし、
それで1本のろうそくの命が短くなるわけではない。幸福も分かち合うことで
減ることはない』
なるほど、こういう思いで事業をしていたからこそ、顧客にも、社員にも、驚
き、喜び、幸せを与え続ける会社を作れたわけなんですね!
そしてトニーさん自身の巻末の言葉、
『組織の原則として「幸せ」を用いることが、道すがらあなたを導く助けにな
ります』
は、遅々として成長しないリーゾへの励ましと勝手に受け取り、成長よりも関
る人の幸せを尺度にしようと決めました(ある意味、開き直りですが・・・)。
ワクワクする気持ちは、起業して、日々経営を続けていく上でなくてはならな
いものですが、そのワクワクを生み出す力は、お金が儲かるという私利私欲の
満足よりも、顧客や社員を始め、周りの人々が喜んでくれているというシンプ
ルな事実の方が何百倍も強いことを実感しています。
(・・・まだ儲かってないからじゃないの?という突っ込みはご容赦を!)
起業を考えている方がいらしたら、ぜひご一読をお勧めしたいです。
ダイジェスト版がブログ記事にありますのでこちらもご参考に。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-eff8.html
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-b123.html
■ り か じ っ け ん レ ポ ー ト ━━━━・・・・・‥‥‥…
5年「もののとけ方」後編
小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聞くシリーズ。5年生の冬に学ぶ
「もののとけ方」について聞いた、後編です。
前編では、「ものが水に溶けてもなくなるわけではない」「水に溶ける量はも
のによって違う」ことを、実験によって学びました。
次の疑問は、「水にものをもっと溶かすにはどうしたらいいか?」。
子供たちに聞いてみると、いろいろ意見が出てきますが、
「温めたらいいんじゃない?」
「水をふやしたらいいんじゃない?」
というふたつの意見に集約させます(ここは先生の腕の見せ所)。
水を増やすのは、メスシリンダーで量った水を加えてかきまぜればいいですよ
ね。温めるには、アルコールランプか、実験用ガスコンロを使います。
溶かす「もの」は、食塩とほう酸のふたつ、試す方法もふたつなので、条件制
御の考え方から、
・食塩+水を増やす
・食塩+温める
・ほう酸+水を増やす
・ほう酸+温める
の4通りの実験になります。が、時間の関係で各班全部は無理なので、班ごと
に2通りずつ分担して実験します。
ここで陥りやすい落とし穴は、
「全部の班に、水を増やすと温める、両方の実験をさせてあげたい」と思う親
心。例えば、「食塩+水を増やす」「ほう酸+温める」の二つだと、「両方溶
ける」という結果になりますが、「ほう酸+水を増やす」「食塩+温める」の
二つだと、「両方溶けない(溶けにくい)」になってしまいます。
(食塩は室温でもそこそこ溶けますが、加熱しても溶ける量はほとんど増えず、
ほう酸はそもそも水に溶ける量が少ないものの、加熱により数倍まで増えます)
水を増やすと溶ける量が増えるもの(食塩)と、温めると溶ける量が増えるも
の(ほう酸)の両方がある、という結論に導きたいわけですが、実験内容をう
まく配分しないと子供たちが混乱しちゃうそうです。
(結果が「溶けない」ばっかりだと、テンション下がりますしね・・・。)
ともあれ、水を増やしたり、温めたりすると、溶ける量が増えることがわかっ
たところで、次なる疑問は、
「水に溶けたものを、もう一度取り出すことはできるのか?」です。
水を増やすと溶けたのだから、水を減らせば出てくるはず。
これを確かめるために、水溶液を「蒸発皿」に載せて、火にかけて乾かす実験
をします。
また、温めれば溶けたのだから、冷やしても出てくるはず。
これを確かめるために、氷と食塩を混ぜたものにビーカーをつけて、析出させ
る実験もします。
こんなことをしなくても、一週間前にほう酸を溶かした水が入っていた容器の
中には、自然に析出したほう酸が固まっているので、「漏斗台」に「漏斗」を
乗せ、「ろ紙」を折ってセットし、ろ過して取り出す実験もします。
(「ろ液」がただの水かどうかも、蒸発皿でチェックします)
これで、「もののとけ方」の一連の実験は終了です。
後半の実験の、その他の落とし穴としては、
・漏斗台が壊れているか、なぜか存在しないことが多い
・ほう酸が析出した溶液をろ紙に一気に注いであふれさせる男子が必ずいる
(女の子に怒られる)
・冷やして析出させる実験では、氷程度では出ず、氷+食塩でも1時間以上か
かるので、析出させた模擬サンプルを用意しておく。
うまく析出すると、それは美しいそうですよ!
水溶液の実験は洗い物が多く、後片付けが大変だそうです。
特に、ほう酸が固まったガラス容器は、煮ないと取れず、支援員泣かせです。
そんな苦労があることも、子供たちには知っておいて欲しい、と思います。
このテーマの学習は、6年生の「水よう液の性質」へと続き、酸やアルカリで
金属を溶かす、おなじみの実験が登場します。
ひとつひとつ積み重ねながら、「化学」の世界に入っていくんですね。
がんばれ子供たち!(・・・先生も!!)
ほとんど同じですがブログにも載ってます。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-0b9f.html
■ リ ー ゾ か ら の お し ら せ ━━━・・・・・‥‥‥………
○「女性のための創業支援セミナー」で創業体験を発表しました
10月12日(土)10時〜12時、茨城県女性プラザ男女共同参画支援室
(いばらき就職・生活総合支援センター3階、水戸市三の丸1−7−41)に
て開催された表記セミナーにて、「創業体験者から聞く創業成功のポイント」
と題し、(有)ピュアメイト・土屋恵子さんとともに、創業体験をお話ししま
した。
ブログでのご報告記事はこちら
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-5463.html
催しの詳細はこちら
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/bugai/josei/danjo/pdf/sougyou3.pdf
(ご案内チラシのPDFが開きます)
○農研機構異分野融合・テクノコロキウムに出展しました
10月30日(水)10時30分〜16時30分、農林水産技術会議事務局筑
波事務所にて開催された表記展示会に出展しました。
すいすいシリーズ、交配袋、実験補助セミナー、コシヒカリつくば黒1号を展
示したほか、今年は初めて生協での展示販売にも挑戦しました。
午後の講演会では、「女性が起業するメリット・デメリット」というお題にて
リーゾ代表・門奈が講演をさせていただきました。
ご来場いただきました皆様に、心よりお礼申し上げます!
ブログでのご報告記事はこちら
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-a714.html
○実験補助セミナー
10月16日(水)10時半〜、つくば市二の宮1丁目「ワンコイン寺子屋」
にて、「水溶液の調製と秤量」実習を行いました。
(台風直撃で小中学校が休校となったためお子さんのいる方が軒並みキャンセ
ルとなりましたが、2名が参加してくださり辛くも開催できました。)
次回は11月20日(水)の同じ時間、同じ場所で、「応募書類の書き方と面
接のポイント」を行います。研究者さんに安心して採用を決めていただくため
に、ご自身の能力と魅力をを正確に伝える応募書類と受け答えを準備しておく
講座です。お席はまだ余裕ありますので、ご興味ある方にぜひお知らせくださ
い。
セミナーの詳細はリーゾのHPをご覧ください。
http://rizo.co.jp/
■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
○ハロウイーンが終わり、町はすでにクリスマス色。日本人は切り替えが早い
ですね。年賀状の準備をせねばと一応考え始めてはいますが、たぶん年末まで
やらないだろうなあ、とすでに諦めムードです。
○娘が学校で芋掘りをしてさつまいもをもらってきたので、リクエストに応え
て「大学芋」を作りました。乱切りにして素揚げしたさつまいもに、飴をから
めて作るのですが、我が家では飴の隠し味にしょうゆ少々と酢を少々入れてま
す。酢は飴をぱりっとさせる効果があり、しょうゆを入れると甘みが引き立ち
香ばしくておいしいんです。大きな芋2本分の大学芋、10分で消えました。
○農研機構テクノコロキウムが今年も無事に終わりました。楽しいイベントで
ある要因のひとつは、実験補助セミナーの卒業生で実験補助者として活躍中の
方がブースに遊びに来てくれること。今回も何名か来てくださり、仕事の様子
を教えてくれました。生き生きとご活躍される姿を見て、「いいことしてるじ
ゃん私!」自分をほめたい(・・・古い?)気持ちになりました。
○最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも、リーゾと
すいすい通信を、よろしくお願いいたします。
(も)
すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、および関係者の皆様にお送り
しています。この号は346名様に配信しました。
お知り合いで、「すいすい通信」の配信を承認していただける方がいらっしゃ
いましたら、ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。
【すいすい通信】
発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日
ご意見ご感想、および本メールマガジンの解除はこちらまで
info*rizo.co.jp
【発行元】
株式会社リーゾ
〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-9-2-B201
TEL:029-852-9351 FAX:020-4623-5611
MAIL:info@rizo.co.jp
HP:http://www.rizo.co.jp/
※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。
======================================================================
Copyright(C) Rizo Inc. All rights reserved.
☆ すいすい通信 ☆ vol.32 2013年11月6日配信
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いつもご愛読ありがとうございます。
「すいすい通信」、11月号をお届けします!
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・特集・・・・・・・・・・リーゾのメセナ「カタルパ」親子鑑定のご報告
・コーヒーブレイク・・・・・・・・・・・・・「ワクワク」起業の大先輩
・りかじっけんレポート・・・・・・・・・・5年「もののとけ方」(後編)
・リーゾからのお知らせ
・編集後記
■ 特 集 ━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
リーゾのメセナ「カタルパ」親子鑑定のご報告
「すいすい通信」本年5月号でお伝えした、熊本県の樹木医さんからのカタル
パ(アメリカキササゲ)の親子鑑定のご依頼のお話、覚えておられるでしょう
か。リーゾ初めての文化貢献事業(メセナ)として取り組ませていただいたの
ですが、その後の展開をご報告します。
まずは簡単に背景のおさらいから・・・。
新島襄がアメリカのE.E.バーニー氏(オハイオ州の鉄道車両製造会社社長)か
ら取り寄せたカタルパの種子が、教え子である徳富蘇峰に譲られて、蘇峰の自
宅(現在は徳富記念園=熊本市)で巨木に成長。
残念ながら昭和33年の台風で倒れ、現在は2世が立派に育っています。
一方、熊本市内の菱形小学校の校庭にも、立派なカタルパの木が。
この木が、徳富記念園にある木と、血縁関係にあるのかどうかを知りたい、と
いうのがご依頼の趣旨でした。
「親樹」と、菱形小学校の「子樹(候補)」、それに血縁がありそうなもの、
なさそうなものを各地から集めていただき、計8種類のカタルパの葉のサンプ
ルからDNAを抽出しました。
最初は、ゲノム情報が皆無なことから「RAPD法」を試し、核ゲノムが同一では
ない(挿し木などではない)ことは確認できたのですが、それ以上の解析が難
しく悩んでいました。
そんな中、幸運にも樹木のゲノム解析の専門家とのご縁ができ、樹木の親子鑑
定によく使われる葉緑体ゲノム上の遺伝子を教えていただくことができたんで
す。
葉緑体ゲノムは、核ゲノムと異なり、「母系遺伝」をします。
つまり、父親が誰であろうと、母親が同じ、すなわち同じ木に実った種から生
える木は、同じ配列を持っていることになります。
教えていただいた遺伝子領域をPCRで増幅し、シーケンシングして比較してみ
たところ、「親樹」「子樹(候補)」の間で、塩基配列の違いは全く認められ
ませんでした。
もちろん、葉緑体ゲノムのこの領域の配列だけがたまたま一致していた、とい
う可能性はありますが(『違いがない』と言い切ることは常にとても難しい)、
「血縁関係にある可能性が否定されない」ことは事実。
はっきりしたことを言うにはもっと突っ込んで解析しなくてはならないものの
親子である可能性に夢をつなぐ結果となりました。
さらに意外ななことに、九州から広島まで散在するいろいろなカタルパさんた
ちにも、塩基配列の違いは見つからず、実は同じ母親を先祖に持っている可能
性が出てきました。
各地で大事にされている木がぜんぶ、新島襄ゆかりのカタルパさんかも?なん
て、可能性だけでも、ちょっとすてきな話ではないでしょうか。
この結果を依頼者の樹木医さんにお伝えしたところ、記念館や菱形小を含めご
関係の皆さんに大変喜んでいただけました。
「熊本日日新聞」に掲載された、樹木医さんのインタビュー記事も送っていた
だきました。
ただ粛々と実験をして、結果を出しただけなんですけれども、皆さんの夢をつ
なぐことができて、ほっとしています・・・。
リーゾ初めての「メセナ」、とりあえず大成功です。
すいすい通信読者の皆さんにも、有形無形の応援をいただいたこと、改めて感
謝いたします。
ブログでのご報告記事(もう少し詳しく、写真入り)はこちらです。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-4d19.html
■ コ ー ヒ ー ブ レ イ ク ━━━━━━・・・・・‥‥‥………
「ワクワク」起業の大先輩
9月、10月と、起業してからの日々を振り返ってお話する機会が3つも続き、
仕事(リーゾ)との関り方を改めて考える中で、とても励まされ良い影響を受
けた本があったことを思い出しました。
創業を志す方にお勧めの本・その15としてブログでもご紹介している、『ザ
ッポス』創業者のトニー・シェイさんの自伝です。
(「顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説 アマゾンを震撼させたサービ
スはいかに生まれたか」トニー・シェイ著 ダイヤモンド社)
『ザッポス』というのは、靴などを販売する米国のネット通販サービス会社な
のですが、あの『アマゾン』を震撼させたというすごい会社なんです。
この方、幼少の頃からビジネスが大好きで、子供時代には写真をカスタムメイ
ドのバッジに仕立てて通販するビジネスを立ち上げたり、学生時代にはバーチ
ャル勉強会を組織してクラウドソーシングの手法で試験対策本を作って売った
り、学生食堂の運営を受託して利益を上げたりしてたそうです。
大学卒業後、最初の会社の売却でミリオネアになり、学友との約束で盛大なク
ルージングパーティーを開催します。
そのクルージングパーティーで、「お金よりも情熱を大事にしたい」とはたと
気がつき、創業したのがかの『ザッポス』。
顧客に「ワオ!」(素晴らしい体験や商品を届けられたときの驚き、喜び)を
与え続ける、すごい会社を作り上げていくのですが・・・。
ところがその道のりは平坦ではなく、何度も資金ショートの危機に見舞われた
り、外部委託で大失敗をしたり。個人の資産を惜しげもなくつぎ込んで無一文
に近い状態にもなるのですが、不思議と悲壮な感じはせず、仲間を失うことも
なく、危機の中でもなぜかワクワク楽しそう。そして、いつの間にか乗り越え
て、巨額の対価でアマゾンに買収され、社員と手を取り合って大喜び。
アマゾンの傘下に入った後も『ザッポス』はそのまま、続いているそうです。
こんな経営の仕方ができる人って、芯となる部分にどんな信念があるのだろう
?と不思議に思いながら読んでいたのですが、最後になんと仏陀の言葉が引用
されていて、ようやく腑に落ちました。
『1本のろうそくは何千本ものろうそくに灯をともすことができる。しかし、
それで1本のろうそくの命が短くなるわけではない。幸福も分かち合うことで
減ることはない』
なるほど、こういう思いで事業をしていたからこそ、顧客にも、社員にも、驚
き、喜び、幸せを与え続ける会社を作れたわけなんですね!
そしてトニーさん自身の巻末の言葉、
『組織の原則として「幸せ」を用いることが、道すがらあなたを導く助けにな
ります』
は、遅々として成長しないリーゾへの励ましと勝手に受け取り、成長よりも関
る人の幸せを尺度にしようと決めました(ある意味、開き直りですが・・・)。
ワクワクする気持ちは、起業して、日々経営を続けていく上でなくてはならな
いものですが、そのワクワクを生み出す力は、お金が儲かるという私利私欲の
満足よりも、顧客や社員を始め、周りの人々が喜んでくれているというシンプ
ルな事実の方が何百倍も強いことを実感しています。
(・・・まだ儲かってないからじゃないの?という突っ込みはご容赦を!)
起業を考えている方がいらしたら、ぜひご一読をお勧めしたいです。
ダイジェスト版がブログ記事にありますのでこちらもご参考に。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-eff8.html
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-b123.html
■ り か じ っ け ん レ ポ ー ト ━━━━・・・・・‥‥‥…
5年「もののとけ方」後編
小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聞くシリーズ。5年生の冬に学ぶ
「もののとけ方」について聞いた、後編です。
前編では、「ものが水に溶けてもなくなるわけではない」「水に溶ける量はも
のによって違う」ことを、実験によって学びました。
次の疑問は、「水にものをもっと溶かすにはどうしたらいいか?」。
子供たちに聞いてみると、いろいろ意見が出てきますが、
「温めたらいいんじゃない?」
「水をふやしたらいいんじゃない?」
というふたつの意見に集約させます(ここは先生の腕の見せ所)。
水を増やすのは、メスシリンダーで量った水を加えてかきまぜればいいですよ
ね。温めるには、アルコールランプか、実験用ガスコンロを使います。
溶かす「もの」は、食塩とほう酸のふたつ、試す方法もふたつなので、条件制
御の考え方から、
・食塩+水を増やす
・食塩+温める
・ほう酸+水を増やす
・ほう酸+温める
の4通りの実験になります。が、時間の関係で各班全部は無理なので、班ごと
に2通りずつ分担して実験します。
ここで陥りやすい落とし穴は、
「全部の班に、水を増やすと温める、両方の実験をさせてあげたい」と思う親
心。例えば、「食塩+水を増やす」「ほう酸+温める」の二つだと、「両方溶
ける」という結果になりますが、「ほう酸+水を増やす」「食塩+温める」の
二つだと、「両方溶けない(溶けにくい)」になってしまいます。
(食塩は室温でもそこそこ溶けますが、加熱しても溶ける量はほとんど増えず、
ほう酸はそもそも水に溶ける量が少ないものの、加熱により数倍まで増えます)
水を増やすと溶ける量が増えるもの(食塩)と、温めると溶ける量が増えるも
の(ほう酸)の両方がある、という結論に導きたいわけですが、実験内容をう
まく配分しないと子供たちが混乱しちゃうそうです。
(結果が「溶けない」ばっかりだと、テンション下がりますしね・・・。)
ともあれ、水を増やしたり、温めたりすると、溶ける量が増えることがわかっ
たところで、次なる疑問は、
「水に溶けたものを、もう一度取り出すことはできるのか?」です。
水を増やすと溶けたのだから、水を減らせば出てくるはず。
これを確かめるために、水溶液を「蒸発皿」に載せて、火にかけて乾かす実験
をします。
また、温めれば溶けたのだから、冷やしても出てくるはず。
これを確かめるために、氷と食塩を混ぜたものにビーカーをつけて、析出させ
る実験もします。
こんなことをしなくても、一週間前にほう酸を溶かした水が入っていた容器の
中には、自然に析出したほう酸が固まっているので、「漏斗台」に「漏斗」を
乗せ、「ろ紙」を折ってセットし、ろ過して取り出す実験もします。
(「ろ液」がただの水かどうかも、蒸発皿でチェックします)
これで、「もののとけ方」の一連の実験は終了です。
後半の実験の、その他の落とし穴としては、
・漏斗台が壊れているか、なぜか存在しないことが多い
・ほう酸が析出した溶液をろ紙に一気に注いであふれさせる男子が必ずいる
(女の子に怒られる)
・冷やして析出させる実験では、氷程度では出ず、氷+食塩でも1時間以上か
かるので、析出させた模擬サンプルを用意しておく。
うまく析出すると、それは美しいそうですよ!
水溶液の実験は洗い物が多く、後片付けが大変だそうです。
特に、ほう酸が固まったガラス容器は、煮ないと取れず、支援員泣かせです。
そんな苦労があることも、子供たちには知っておいて欲しい、と思います。
このテーマの学習は、6年生の「水よう液の性質」へと続き、酸やアルカリで
金属を溶かす、おなじみの実験が登場します。
ひとつひとつ積み重ねながら、「化学」の世界に入っていくんですね。
がんばれ子供たち!(・・・先生も!!)
ほとんど同じですがブログにも載ってます。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-0b9f.html
■ リ ー ゾ か ら の お し ら せ ━━━・・・・・‥‥‥………
○「女性のための創業支援セミナー」で創業体験を発表しました
10月12日(土)10時〜12時、茨城県女性プラザ男女共同参画支援室
(いばらき就職・生活総合支援センター3階、水戸市三の丸1−7−41)に
て開催された表記セミナーにて、「創業体験者から聞く創業成功のポイント」
と題し、(有)ピュアメイト・土屋恵子さんとともに、創業体験をお話ししま
した。
ブログでのご報告記事はこちら
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-5463.html
催しの詳細はこちら
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/bugai/josei/danjo/pdf/sougyou3.pdf
(ご案内チラシのPDFが開きます)
○農研機構異分野融合・テクノコロキウムに出展しました
10月30日(水)10時30分〜16時30分、農林水産技術会議事務局筑
波事務所にて開催された表記展示会に出展しました。
すいすいシリーズ、交配袋、実験補助セミナー、コシヒカリつくば黒1号を展
示したほか、今年は初めて生協での展示販売にも挑戦しました。
午後の講演会では、「女性が起業するメリット・デメリット」というお題にて
リーゾ代表・門奈が講演をさせていただきました。
ご来場いただきました皆様に、心よりお礼申し上げます!
ブログでのご報告記事はこちら
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-a714.html
○実験補助セミナー
10月16日(水)10時半〜、つくば市二の宮1丁目「ワンコイン寺子屋」
にて、「水溶液の調製と秤量」実習を行いました。
(台風直撃で小中学校が休校となったためお子さんのいる方が軒並みキャンセ
ルとなりましたが、2名が参加してくださり辛くも開催できました。)
次回は11月20日(水)の同じ時間、同じ場所で、「応募書類の書き方と面
接のポイント」を行います。研究者さんに安心して採用を決めていただくため
に、ご自身の能力と魅力をを正確に伝える応募書類と受け答えを準備しておく
講座です。お席はまだ余裕ありますので、ご興味ある方にぜひお知らせくださ
い。
セミナーの詳細はリーゾのHPをご覧ください。
http://rizo.co.jp/
■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
○ハロウイーンが終わり、町はすでにクリスマス色。日本人は切り替えが早い
ですね。年賀状の準備をせねばと一応考え始めてはいますが、たぶん年末まで
やらないだろうなあ、とすでに諦めムードです。
○娘が学校で芋掘りをしてさつまいもをもらってきたので、リクエストに応え
て「大学芋」を作りました。乱切りにして素揚げしたさつまいもに、飴をから
めて作るのですが、我が家では飴の隠し味にしょうゆ少々と酢を少々入れてま
す。酢は飴をぱりっとさせる効果があり、しょうゆを入れると甘みが引き立ち
香ばしくておいしいんです。大きな芋2本分の大学芋、10分で消えました。
○農研機構テクノコロキウムが今年も無事に終わりました。楽しいイベントで
ある要因のひとつは、実験補助セミナーの卒業生で実験補助者として活躍中の
方がブースに遊びに来てくれること。今回も何名か来てくださり、仕事の様子
を教えてくれました。生き生きとご活躍される姿を見て、「いいことしてるじ
ゃん私!」自分をほめたい(・・・古い?)気持ちになりました。
○最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも、リーゾと
すいすい通信を、よろしくお願いいたします。
(も)
すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、および関係者の皆様にお送り
しています。この号は346名様に配信しました。
お知り合いで、「すいすい通信」の配信を承認していただける方がいらっしゃ
いましたら、ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。
【すいすい通信】
発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日
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