すいすい通信 vol.37 2014年4月号
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☆ すいすい通信 ☆ vol.37 2014年4月2日配信
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
筑波大の学生さんがリヤカーで家財道具をのんびり運ぶ姿が見られる季節にな
りました。桜も満開で、また1年経ったんだなあ・・・と感じます。
新年度も、みなさまのお仕事が順調に進みますように、6年目のリーゾが全力
で応援いたします。
それでは、「すいすい通信」4月号をお届けします!
_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ /_/_/
・貧乏ラボマニュアル・・・・・・インキュベータとして使える意外なもの
・コーヒーブレイク・・・・・・・・・・・・ワクワク起業の大先輩その2
・こどもといっしょにサイエンス・・・・・フリクションインキを科学する
・リーゾからのお知らせ
・編集後記
■ 貧 乏 ラ ボ マ ニ ュ ア ル ━━━・・・・・‥‥‥………
インキュベータとして使える意外なもの
バイオの実験では、酵素処理とか、バクテリアの培養などのために、決まった
温度で一定時間保温する「インキュベーション」を行うことが、よくあります。
リーゾの「DNAすいすい」シリーズには、DNA抽出プロトコルの中で65℃での
インキュベーションを行うものがあります。高温で処理することで、組織が柔
らかくなり、粉砕しなくてもDNAが溶出しやすくなるんです。
貧乏をさらけ出すのもなんですが(もう慣れました)、今まで65℃の保温に
使っていたのは、前のテナントさんが置いていった「おしぼりウォーマー」で
した。つまり、温度は変えられません。
では30℃や37℃はどうしていたのかというと、酵素反応ならPCRマシンを
使い、種子の催芽を行う際には「使い捨てカイロ」をスチロール箱に敷いて保
温するという、涙ぐましい努力をしてました。
スペースはほんの少しでいいから、温度調節ができて、長時間保温できるもの
が欲しいなあ、といろいろ考えていたところ、思いついたのが「ヨーグルトメ
ーカー」。
自宅で1日おきに使っているものなのに、今まで思いつかなかったのが不思議
なくらいです。
ラボ用に新しいものを購入し、実験用のバクテリアの培養に使ってみました。
普通のサイズ(直径10センチ弱、厚さ約1センチ)のシャーレが、ちゃんと
水平に、6枚くらい入ります。37℃で16時間保温することで、コロニー形
成もばっちりできました。
イネの発芽も試してみました。発芽袋に入れた種子を小さなビーカーに入れ、
少量の水を加えて中へ。イネの発芽には3日ほどかかるので、30℃で24時
間を設定し、2回更新して3日間保温してみました。
カイロ方式だと温度が保てず発芽が揃わないのが悩みでしたが、この方法だと
きれいに揃って発芽してくれました。
家庭用品って、性能がよくて使いやすくて、そのうえお値段が安くないと売れ
ないものですから、作る側も相当な努力をして開発しているはず。賢く利用し
ない手はないですよね。
とはいえあくまでも家庭用なので、実験に使う場合には自己責任でお願いしま
す。
実験ではないですが、メダカや金魚の稚魚のえさになる「ブラインシュリンプ」
の孵化にも使えそう・・・。
有精卵を買ってきたら、ヒヨコを孵せるかも?(スタッフに怒られそうなので
やめておきます)
写真入りのブログ記事はこちらです
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-261d.html
(リーゾのブログには、このほかにも貧乏ラボのアイデアグッズをいろいろご
紹介しています)
■ コ ー ヒ ー ブ レ イ ク ━━━━━━・・・・・‥‥‥………
ワクワク起業の大先輩その2
以前、ワクワク起業の大先輩として、ザッポスのトニー・シェイさんをご紹介
しましたが、今回は第2弾として、日本の超有名な女性起業家を先輩扱いしち
ゃいます。
先日、南場智子さんの『不恰好経営 チームDeNAの挑戦』(日本経済新聞出版
社)を読みました。
すでにお読みになった方が多いでしょうから、女性の起業という視点で、個人
的に心に響いたところをいくつかご紹介していきたいと思います。
DeNAって今ではプロ野球まで持っている大会社で、最初からゴージャスに立ち
上げたのだろうと想像していたんですが、この本によると立ち上げ時はかなり
の貧乏ぶり。
登記したのは、代々木公園の近くの、20平米余りの小さなアパートでした。
女ばかりのリーゾと違い、立ち上げ時から男性社員もいたわけですが、
『ひとつしかないトイレを男性社員と共用。掃除は我慢比べに負けていつも私』
(P19-20)
ITベンチャーには必然?の徹夜作業でも、
『男子が使った寝袋にはどうしても入る気になれず、NASA謹製の銀紙にくるま
って寝た」(P37)
どちらも、気持ちわかります・・・。
たとえどんなに男勝りでも、女子として踏み越えられない一線が、このあたり
にあるような。
立ち上げ時にある程度資本が必要で、大企業に株主になってもらった(※)わ
けですが、それも内心は複雑なものがあったようで、
『なんの寄る辺もなく起業する者は、有名な大企業のサポートをとても心強く
感じてしまいがちだ。けれども(中略)これから起業しようとしている人には、
他社からの大きな割合の資本を導入することは慎重に考えるようにとアドバイ
スしている』(P91)
のだそうです。
お金をタダでくれる人(会社)はありません。たいへんなこともいろいろあっ
たようですね・・・。
アドバイスはリーゾの起業には間に合いませんでしたが、もちろん他社からの
資本の導入は願うまでもなく、そういう意味ではセーフです。
(※ DeNAの立ち上げ時の資本金は、ソネット(ソニー子会社)、リクルート、
経営陣でそれぞれ約5000万とし、経営陣が筆頭株主。)
インターネットオークションサイト「ビッダーズ」を持ちながら、携帯向けネ
ットオークションサイト「モバオク」を全く切り離して立ち上げたのは英断で
した。
『あるものは使う、持っている強みは活用する、というのが新規事業戦略の王
道だ。我々が持っていたのはビッダーズのみ。だがそれとは無関係にゼロから
作ることにしたわけだ』(P99)
南場さんはかのマッキンゼーで、経営コンサルとして修行してこられた方なの
に、経営学の教科書的な知識をあえて無視しての決断、というところがすごい
です。
インターネットサービス業界では、「ナンバーワン」になると桁違いに効率よ
くビジネスができるそうですが、
『(業界の)リーダーにとって、『正しい選択肢を選ぶ』ことは当然重要だが、
それと同等以上に、『選んだ選択肢を正しくする』ことが重要となる』(P205)
なるほど〜。
なんか「力(ちから)ワザ」って感じもしますが、このくらいの迫力がないと、
IT業界でリーダーにはなれないのですね。
ナンバーワンになれるかどうかは、大きな賭けのようなものなのでしょう。
なれれば巨額の富を回収できるし、なれなければ投資がパーに近くなるわけで
すから・・・。
南場さんは会社のリーダーとして、たくさんの人材を育てて来ましたが、
『成長はあくまでも結果』(P216)
と仰います。
仕事と必死にすもうをとり続けることで、驚くようなスピードで、結果を出せ
る人材へ成長するのだと。
これは私自身も日々実感していることですが、人間って、負荷がかかると成長
します。
自分で思う限界の「ちょっと上」くらいの仕事に常に挑戦し続けることで、わ
くわくしながら成長し、世界を広げていけることを感じています。疲れますけ
どね。
南場さんは、DeNAを生み出し、大きく育てて、見事に「子離れ」されました。
南場さんが育てた「チームDeNA」は、「DeNAクオリティ」を持って、さらに高
い頂を目指して成長していくのでしょうね。
「起業した女性」というカテゴリは同じであるものの、ぜんぜんレベルが違う、
空の上にいるような存在だと思っていたのですが、最初はやっぱり貧乏臭く、
苦労して始めたんだなーということがわかって、安心すると同時に、勇気をも
らえた一冊でした。
ほとんど同じですが、ブログでのご紹介記事はこちらです。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post- f122.html
■ こどもといっしょに サ イ エ ン ス━━━━━・・・・・‥‥‥…
フリクションインキを科学する
私たちの身の回りには、科学を利用した便利な生活用品や、科学を知らないと
とっても不思議に思える現象がたくさんありますが、大人はふつう、あまり気
にせずに暮らしています。
でも、ちょっと視点を変えてくふうすることで、子供といっしょに安全に楽し
く「理科実験」ができて、サイエンスの世界に自然と興味を持ってもらえるん
ですよ。
つくば市内の児童館などを中心に、こどもむけサイエンスショーの活動をして
いる「おもしろ?ふしぎ?実験隊」のKUBOさんは、おもしろ科学実験のレパー
トリーをたくさん持っていらっしゃいます。
その中から、特にお勧めの実験を選んで、裏話や実際にやってみる場合のコツ
などもお聞きしながらご紹介していきたいと思います。
というわけで、第1回は「フリクションインキを科学する」です。
用意するものは、
フリクションペン、紙、紙コップ、加熱するもの(ドライヤー、コンロ、アイ
ロンなど)、冷却するもの(冷却スプレー、氷+食塩など)。
まず、フリクションペンで紙に自分の名前を書いてもらい、後ろのゴムでこす
ってみます⇒消えました。
「なんでだと思う?」「消えた原因はインキとゴムのどっちかな?」
爪でこすっても消えるので、「こすることによって消える」とわかります。
こすること=摩擦により生じた熱で、消えるんですね。
摩擦で熱が出る、ということは、両手をこすらせて実感してもらいます。
「じゃ、熱が出るものには何があるかな?」
ホワイトボードに書ききれないくらいいろいろな意見がでてきたところで、
実験してみます。
紙に書いたものにドライヤーの温風を当ててみると・・・消えました。
コンロの火であぶってみると(危ないので見せるだけ)・・・消えました。
紙コップに書いて、熱いお湯を入れてみると・・・消えました。
「熱くなると消えるなら、冷たくすると出てくるのかな?」
「冷たくなるものは何がある?」
水、氷、ドライアイス、ドライヤーの風、冷蔵庫・・・。またまた、いろい
ろでてきます。
冷やす方は、水や冷蔵庫程度ではだめで、ドライアイスか氷水(食塩を足し
たもの)で、消えたインキが復活!
秘密兵器「冷却スプレー」がここで登場です。マイナス40度の冷気でもちろ
ん見事に復活させてくれます。
フリクションインキは、普通、「消す」ことしか使わないので、冷やすと出
てくることを目の当たりにすると、大人でもちょっとびっくりです。「熱す
る」「冷やす」で消したり出したり、何度でもできるので、子供そっちのけ
で遊びたくなってしまいます・・・。
フリクションインキは約60℃以上の温度で消え、マイナス20℃以下に冷や
すことで復活するのだそうです。もう少し穏やかな温度で変化するインキも
あり、お風呂用のおもちゃなどに使われています。お湯につけたときと、水
につけた時で色が変わるケーキ型や車型のおもちゃがあります。
もうひとつのお楽しみとして、しおり大の紙に自由に絵や名前を書き、先生
がラミネートしてあげると、秘密のしおりができあがり! おうちに持って
帰って、冷凍庫に入れておくと、絵や文字が出てくるという趣向です。うち
の娘が持って帰ったものも、冷凍庫でちゃんと絵が出てきて、びっくりする
親にどういうしくみかをうれしそうに説明することで、習ったことを効果的
に復習できるというわけです。
では、ここからKUBOさんにインタビュー。
Q:この実験を思いついたきっかけは?
KUBOさん:以前、温度によって色が変わるスキーウエア―というのがあると
聞いたことがあり、それをネタに実験教室がやれないかな?と思っていたの
ですが、いまいちよいストーリーが浮かびませんでした。
フリクションペンを見つけた時、色が変わるスキーウエア―の原理とおなじ
と気付き、子どもたちの身近な物で実験しながらふしぎが体験できる!すぐ
にフリクションペンを買い込みました!
Q:この実験で苦労したこと、困ったこと、工夫したことは?
KUBOさん:この実験では、不思議は体験できるのですが、原理を詳しく説明
することは難しいなと思い、やっていません。それが少し残念なところです。
代わりに、身近な物にも科学が隠れているということを体験し、
「自分がペンの開発者になったらどうすれば使える商品になるか」
を考える過程を最初に入れるように工夫してみました。
Q:この実験教室を上手にみせるコツは?
KUBOさん:紙コップにフリクションペンで絵をかいて、お湯を入れると、一
瞬で絵が消えます。こどもたちには、一瞬をとらえられるように、よ〜く見
ておくように言っておきます。
フリクションペンは、いろいろな商品がありますが、変化がよくわかるのは、
蛍光のフリクションペンのようです。それも、黄色以外の色のほうが、変化
がよくわかるようです。
Q:この実験を行うとき、注意すべきことは?
KUBOさん:火・お湯・冷却スプレーを使うので、やけどなどには、気を付け
てください。もちろん冷却スプレーの使い方としてはただしくはないので、
おうちの方と一緒にスプレーの時間など記載事項に気を付けてトライしてみ
てください。
おうちにフリクションペンがあったら、お子さんといっしょに遊んで(もと
い、実験して)みてはいかがでしょうか。
私も子供たちに混じって体験させてもらったのですが、大人でも、とても楽
しいですよ。
写真入りでわかりやすい情報がこちらにあります
(「おもしろ?ふしぎ?実験隊」さんのブログです)
http://tsukuba-ibk.com/omosiro/2010/11/20101129.html
フリクションインキについてもっと知りたい方は、パイロットさんのサイト
がお勧めです
http://www.pilot.co.jp/promotion/frixion/info/#/home/
■ リ ー ゾ か ら の お し ら せ ━━━・・・・・‥‥‥………
○主婦の再就職をテーマとしたNHKの番組取材に協力しました。
つくば市のセミナーがきっかけとなり、主婦の再就職支援活動の取材を受けま
した。先月28日の特番(いばらきスペシャル)と、31日のおはよう日本(関東
甲信越)で放送されましたが、どちらも主婦力のあなどれなさがよくわかる内
容となっていました。
見逃した方は、こちらのサイトからチェックできますのでぜひどうぞ。
http://www.nhk.or.jp/shutoken/ohayo/report/20140331.html
○「国産野菜の契約取引マッチングフェアin東京」に「美食同玄米」を出展
3月12日(水)東京国際フォーラム展示ホールにて開催される表記展示会に
コシヒカリつくば黒1号の玄米「美食同玄米」を出展いたしました。
この展示会は、(独)農畜産業振興機構、野菜ビジネス協議会が主催するもの
で、出展者である「つくばバイオマス籾殻研究会」の一員として展示させてい
ただきました。
ブログでのご報告記事はこちら
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-1ee6.html
主催者のご案内PDFはこちら
http://www.alic.go.jp/content/000103436.pdf
○実験補助セミナー
3月19日(水)10時半〜12時、つくば市二の宮の「ワンコイン寺子屋」にて、
実験補助の仕事に応募する際の応募書類の書き方と面接のポイントを学ぶセミ
ナーを行いました。前回に引き続きNHK水戸放送局のカメラが入りました。
次回から新しいクールに入ります。実験補助の仕事の概要を学ぶ「ガイダンス
セミナー」を4月16日(水)に開催します。珍しくご予約好調です。
今後のセミナーの詳細はリーゾのHPをご覧ください。
http://rizo.co.jp/
○リーゾのスタッフを募集します
リーゾの理念に共感してくださる、勤労意欲と「主婦力」のある方を募集して
います。詳しくはこちらをご覧ください。
http://rizo.co.jp/staffwanted.html
■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
○NHKの取材の一環で、リーゾにもカメラが入りました。ディレクターさん
とカメラさん、音声さんの3人が加わると、狭いリーゾは満員状態。それでも
手際よく、楽しげに、いつの間にか内容の濃い取材をしていて、さすがはプロ
です。音声さんが持つ、長〜いマイクのモフモフがツボでした。
リーゾのテレビ取材の模様はブログ記事にあります(モフモフの写真も!)。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/nhk-9a80.html
○冬季のリーゾが底冷えする原因ともなっていた、階下の空きテナントについ
に「上海軒」という中華料理屋さんが入り、開店当日にリーゾスタッフ全員で
ランチに行ってきました。
大盛りのご飯、野菜たっぷりでご飯が進むおかず、スープ、漬物、サラダ、コ
ーヒー、デザートがついて500円。筑波大生の多い土地柄、学生さんの胃袋を
がっちりつかんで、次の冬は底冷え解消できるかな・・・。
○震災をきっかけに、「こんなときこそ新しいことを」と手探りで配信を始め
た「すいすい通信」が、まさかの4年目を迎えてしまいました。
配信先も当初の4倍近くに増えました。みなさまのご愛読と温かい応援に、感
謝の言葉も見つかりませんが、精一杯の恩返しに少しでもお役に立つ情報をお
届けできるよう、あと1年を目標に今年度もがんばります。
○最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも、リーゾと
すいすい通信をどうぞよろしくお願いいたします。 (も)
すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、および関係者の皆様にお送り
しています。この号は420名様に配信しました。
お知り合いで、「すいすい通信」の配信を承認していただける方がいらっしゃ
いましたら、ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。
【すいすい通信】
発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日
ご意見ご感想、および本メールマガジンの解除はこちらまで
info(at)rizo.co.jp
【発行元】
株式会社リーゾ
〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-9-2-B201
TEL:029-852-9351 FAX:020-4623-5611
MAIL:info(at)rizo.co.jp
HP:http://www.rizo.co.jp/
※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。
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Copyright(C) Rizo Inc. All rights reserved.
☆ すいすい通信 ☆ vol.37 2014年4月2日配信
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筑波大の学生さんがリヤカーで家財道具をのんびり運ぶ姿が見られる季節にな
りました。桜も満開で、また1年経ったんだなあ・・・と感じます。
新年度も、みなさまのお仕事が順調に進みますように、6年目のリーゾが全力
で応援いたします。
それでは、「すいすい通信」4月号をお届けします!
_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ /_/_/
・貧乏ラボマニュアル・・・・・・インキュベータとして使える意外なもの
・コーヒーブレイク・・・・・・・・・・・・ワクワク起業の大先輩その2
・こどもといっしょにサイエンス・・・・・フリクションインキを科学する
・リーゾからのお知らせ
・編集後記
■ 貧 乏 ラ ボ マ ニ ュ ア ル ━━━・・・・・‥‥‥………
インキュベータとして使える意外なもの
バイオの実験では、酵素処理とか、バクテリアの培養などのために、決まった
温度で一定時間保温する「インキュベーション」を行うことが、よくあります。
リーゾの「DNAすいすい」シリーズには、DNA抽出プロトコルの中で65℃での
インキュベーションを行うものがあります。高温で処理することで、組織が柔
らかくなり、粉砕しなくてもDNAが溶出しやすくなるんです。
貧乏をさらけ出すのもなんですが(もう慣れました)、今まで65℃の保温に
使っていたのは、前のテナントさんが置いていった「おしぼりウォーマー」で
した。つまり、温度は変えられません。
では30℃や37℃はどうしていたのかというと、酵素反応ならPCRマシンを
使い、種子の催芽を行う際には「使い捨てカイロ」をスチロール箱に敷いて保
温するという、涙ぐましい努力をしてました。
スペースはほんの少しでいいから、温度調節ができて、長時間保温できるもの
が欲しいなあ、といろいろ考えていたところ、思いついたのが「ヨーグルトメ
ーカー」。
自宅で1日おきに使っているものなのに、今まで思いつかなかったのが不思議
なくらいです。
ラボ用に新しいものを購入し、実験用のバクテリアの培養に使ってみました。
普通のサイズ(直径10センチ弱、厚さ約1センチ)のシャーレが、ちゃんと
水平に、6枚くらい入ります。37℃で16時間保温することで、コロニー形
成もばっちりできました。
イネの発芽も試してみました。発芽袋に入れた種子を小さなビーカーに入れ、
少量の水を加えて中へ。イネの発芽には3日ほどかかるので、30℃で24時
間を設定し、2回更新して3日間保温してみました。
カイロ方式だと温度が保てず発芽が揃わないのが悩みでしたが、この方法だと
きれいに揃って発芽してくれました。
家庭用品って、性能がよくて使いやすくて、そのうえお値段が安くないと売れ
ないものですから、作る側も相当な努力をして開発しているはず。賢く利用し
ない手はないですよね。
とはいえあくまでも家庭用なので、実験に使う場合には自己責任でお願いしま
す。
実験ではないですが、メダカや金魚の稚魚のえさになる「ブラインシュリンプ」
の孵化にも使えそう・・・。
有精卵を買ってきたら、ヒヨコを孵せるかも?(スタッフに怒られそうなので
やめておきます)
写真入りのブログ記事はこちらです
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-261d.html
(リーゾのブログには、このほかにも貧乏ラボのアイデアグッズをいろいろご
紹介しています)
■ コ ー ヒ ー ブ レ イ ク ━━━━━━・・・・・‥‥‥………
ワクワク起業の大先輩その2
以前、ワクワク起業の大先輩として、ザッポスのトニー・シェイさんをご紹介
しましたが、今回は第2弾として、日本の超有名な女性起業家を先輩扱いしち
ゃいます。
先日、南場智子さんの『不恰好経営 チームDeNAの挑戦』(日本経済新聞出版
社)を読みました。
すでにお読みになった方が多いでしょうから、女性の起業という視点で、個人
的に心に響いたところをいくつかご紹介していきたいと思います。
DeNAって今ではプロ野球まで持っている大会社で、最初からゴージャスに立ち
上げたのだろうと想像していたんですが、この本によると立ち上げ時はかなり
の貧乏ぶり。
登記したのは、代々木公園の近くの、20平米余りの小さなアパートでした。
女ばかりのリーゾと違い、立ち上げ時から男性社員もいたわけですが、
『ひとつしかないトイレを男性社員と共用。掃除は我慢比べに負けていつも私』
(P19-20)
ITベンチャーには必然?の徹夜作業でも、
『男子が使った寝袋にはどうしても入る気になれず、NASA謹製の銀紙にくるま
って寝た」(P37)
どちらも、気持ちわかります・・・。
たとえどんなに男勝りでも、女子として踏み越えられない一線が、このあたり
にあるような。
立ち上げ時にある程度資本が必要で、大企業に株主になってもらった(※)わ
けですが、それも内心は複雑なものがあったようで、
『なんの寄る辺もなく起業する者は、有名な大企業のサポートをとても心強く
感じてしまいがちだ。けれども(中略)これから起業しようとしている人には、
他社からの大きな割合の資本を導入することは慎重に考えるようにとアドバイ
スしている』(P91)
のだそうです。
お金をタダでくれる人(会社)はありません。たいへんなこともいろいろあっ
たようですね・・・。
アドバイスはリーゾの起業には間に合いませんでしたが、もちろん他社からの
資本の導入は願うまでもなく、そういう意味ではセーフです。
(※ DeNAの立ち上げ時の資本金は、ソネット(ソニー子会社)、リクルート、
経営陣でそれぞれ約5000万とし、経営陣が筆頭株主。)
インターネットオークションサイト「ビッダーズ」を持ちながら、携帯向けネ
ットオークションサイト「モバオク」を全く切り離して立ち上げたのは英断で
した。
『あるものは使う、持っている強みは活用する、というのが新規事業戦略の王
道だ。我々が持っていたのはビッダーズのみ。だがそれとは無関係にゼロから
作ることにしたわけだ』(P99)
南場さんはかのマッキンゼーで、経営コンサルとして修行してこられた方なの
に、経営学の教科書的な知識をあえて無視しての決断、というところがすごい
です。
インターネットサービス業界では、「ナンバーワン」になると桁違いに効率よ
くビジネスができるそうですが、
『(業界の)リーダーにとって、『正しい選択肢を選ぶ』ことは当然重要だが、
それと同等以上に、『選んだ選択肢を正しくする』ことが重要となる』(P205)
なるほど〜。
なんか「力(ちから)ワザ」って感じもしますが、このくらいの迫力がないと、
IT業界でリーダーにはなれないのですね。
ナンバーワンになれるかどうかは、大きな賭けのようなものなのでしょう。
なれれば巨額の富を回収できるし、なれなければ投資がパーに近くなるわけで
すから・・・。
南場さんは会社のリーダーとして、たくさんの人材を育てて来ましたが、
『成長はあくまでも結果』(P216)
と仰います。
仕事と必死にすもうをとり続けることで、驚くようなスピードで、結果を出せ
る人材へ成長するのだと。
これは私自身も日々実感していることですが、人間って、負荷がかかると成長
します。
自分で思う限界の「ちょっと上」くらいの仕事に常に挑戦し続けることで、わ
くわくしながら成長し、世界を広げていけることを感じています。疲れますけ
どね。
南場さんは、DeNAを生み出し、大きく育てて、見事に「子離れ」されました。
南場さんが育てた「チームDeNA」は、「DeNAクオリティ」を持って、さらに高
い頂を目指して成長していくのでしょうね。
「起業した女性」というカテゴリは同じであるものの、ぜんぜんレベルが違う、
空の上にいるような存在だと思っていたのですが、最初はやっぱり貧乏臭く、
苦労して始めたんだなーということがわかって、安心すると同時に、勇気をも
らえた一冊でした。
ほとんど同じですが、ブログでのご紹介記事はこちらです。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post- f122.html
■ こどもといっしょに サ イ エ ン ス━━━━━・・・・・‥‥‥…
フリクションインキを科学する
私たちの身の回りには、科学を利用した便利な生活用品や、科学を知らないと
とっても不思議に思える現象がたくさんありますが、大人はふつう、あまり気
にせずに暮らしています。
でも、ちょっと視点を変えてくふうすることで、子供といっしょに安全に楽し
く「理科実験」ができて、サイエンスの世界に自然と興味を持ってもらえるん
ですよ。
つくば市内の児童館などを中心に、こどもむけサイエンスショーの活動をして
いる「おもしろ?ふしぎ?実験隊」のKUBOさんは、おもしろ科学実験のレパー
トリーをたくさん持っていらっしゃいます。
その中から、特にお勧めの実験を選んで、裏話や実際にやってみる場合のコツ
などもお聞きしながらご紹介していきたいと思います。
というわけで、第1回は「フリクションインキを科学する」です。
用意するものは、
フリクションペン、紙、紙コップ、加熱するもの(ドライヤー、コンロ、アイ
ロンなど)、冷却するもの(冷却スプレー、氷+食塩など)。
まず、フリクションペンで紙に自分の名前を書いてもらい、後ろのゴムでこす
ってみます⇒消えました。
「なんでだと思う?」「消えた原因はインキとゴムのどっちかな?」
爪でこすっても消えるので、「こすることによって消える」とわかります。
こすること=摩擦により生じた熱で、消えるんですね。
摩擦で熱が出る、ということは、両手をこすらせて実感してもらいます。
「じゃ、熱が出るものには何があるかな?」
ホワイトボードに書ききれないくらいいろいろな意見がでてきたところで、
実験してみます。
紙に書いたものにドライヤーの温風を当ててみると・・・消えました。
コンロの火であぶってみると(危ないので見せるだけ)・・・消えました。
紙コップに書いて、熱いお湯を入れてみると・・・消えました。
「熱くなると消えるなら、冷たくすると出てくるのかな?」
「冷たくなるものは何がある?」
水、氷、ドライアイス、ドライヤーの風、冷蔵庫・・・。またまた、いろい
ろでてきます。
冷やす方は、水や冷蔵庫程度ではだめで、ドライアイスか氷水(食塩を足し
たもの)で、消えたインキが復活!
秘密兵器「冷却スプレー」がここで登場です。マイナス40度の冷気でもちろ
ん見事に復活させてくれます。
フリクションインキは、普通、「消す」ことしか使わないので、冷やすと出
てくることを目の当たりにすると、大人でもちょっとびっくりです。「熱す
る」「冷やす」で消したり出したり、何度でもできるので、子供そっちのけ
で遊びたくなってしまいます・・・。
フリクションインキは約60℃以上の温度で消え、マイナス20℃以下に冷や
すことで復活するのだそうです。もう少し穏やかな温度で変化するインキも
あり、お風呂用のおもちゃなどに使われています。お湯につけたときと、水
につけた時で色が変わるケーキ型や車型のおもちゃがあります。
もうひとつのお楽しみとして、しおり大の紙に自由に絵や名前を書き、先生
がラミネートしてあげると、秘密のしおりができあがり! おうちに持って
帰って、冷凍庫に入れておくと、絵や文字が出てくるという趣向です。うち
の娘が持って帰ったものも、冷凍庫でちゃんと絵が出てきて、びっくりする
親にどういうしくみかをうれしそうに説明することで、習ったことを効果的
に復習できるというわけです。
では、ここからKUBOさんにインタビュー。
Q:この実験を思いついたきっかけは?
KUBOさん:以前、温度によって色が変わるスキーウエア―というのがあると
聞いたことがあり、それをネタに実験教室がやれないかな?と思っていたの
ですが、いまいちよいストーリーが浮かびませんでした。
フリクションペンを見つけた時、色が変わるスキーウエア―の原理とおなじ
と気付き、子どもたちの身近な物で実験しながらふしぎが体験できる!すぐ
にフリクションペンを買い込みました!
Q:この実験で苦労したこと、困ったこと、工夫したことは?
KUBOさん:この実験では、不思議は体験できるのですが、原理を詳しく説明
することは難しいなと思い、やっていません。それが少し残念なところです。
代わりに、身近な物にも科学が隠れているということを体験し、
「自分がペンの開発者になったらどうすれば使える商品になるか」
を考える過程を最初に入れるように工夫してみました。
Q:この実験教室を上手にみせるコツは?
KUBOさん:紙コップにフリクションペンで絵をかいて、お湯を入れると、一
瞬で絵が消えます。こどもたちには、一瞬をとらえられるように、よ〜く見
ておくように言っておきます。
フリクションペンは、いろいろな商品がありますが、変化がよくわかるのは、
蛍光のフリクションペンのようです。それも、黄色以外の色のほうが、変化
がよくわかるようです。
Q:この実験を行うとき、注意すべきことは?
KUBOさん:火・お湯・冷却スプレーを使うので、やけどなどには、気を付け
てください。もちろん冷却スプレーの使い方としてはただしくはないので、
おうちの方と一緒にスプレーの時間など記載事項に気を付けてトライしてみ
てください。
おうちにフリクションペンがあったら、お子さんといっしょに遊んで(もと
い、実験して)みてはいかがでしょうか。
私も子供たちに混じって体験させてもらったのですが、大人でも、とても楽
しいですよ。
写真入りでわかりやすい情報がこちらにあります
(「おもしろ?ふしぎ?実験隊」さんのブログです)
http://tsukuba-ibk.com/omosiro/2010/11/20101129.html
フリクションインキについてもっと知りたい方は、パイロットさんのサイト
がお勧めです
http://www.pilot.co.jp/promotion/frixion/info/#/home/
■ リ ー ゾ か ら の お し ら せ ━━━・・・・・‥‥‥………
○主婦の再就職をテーマとしたNHKの番組取材に協力しました。
つくば市のセミナーがきっかけとなり、主婦の再就職支援活動の取材を受けま
した。先月28日の特番(いばらきスペシャル)と、31日のおはよう日本(関東
甲信越)で放送されましたが、どちらも主婦力のあなどれなさがよくわかる内
容となっていました。
見逃した方は、こちらのサイトからチェックできますのでぜひどうぞ。
http://www.nhk.or.jp/shutoken/ohayo/report/20140331.html
○「国産野菜の契約取引マッチングフェアin東京」に「美食同玄米」を出展
3月12日(水)東京国際フォーラム展示ホールにて開催される表記展示会に
コシヒカリつくば黒1号の玄米「美食同玄米」を出展いたしました。
この展示会は、(独)農畜産業振興機構、野菜ビジネス協議会が主催するもの
で、出展者である「つくばバイオマス籾殻研究会」の一員として展示させてい
ただきました。
ブログでのご報告記事はこちら
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-1ee6.html
主催者のご案内PDFはこちら
http://www.alic.go.jp/content/000103436.pdf
○実験補助セミナー
3月19日(水)10時半〜12時、つくば市二の宮の「ワンコイン寺子屋」にて、
実験補助の仕事に応募する際の応募書類の書き方と面接のポイントを学ぶセミ
ナーを行いました。前回に引き続きNHK水戸放送局のカメラが入りました。
次回から新しいクールに入ります。実験補助の仕事の概要を学ぶ「ガイダンス
セミナー」を4月16日(水)に開催します。珍しくご予約好調です。
今後のセミナーの詳細はリーゾのHPをご覧ください。
http://rizo.co.jp/
○リーゾのスタッフを募集します
リーゾの理念に共感してくださる、勤労意欲と「主婦力」のある方を募集して
います。詳しくはこちらをご覧ください。
http://rizo.co.jp/staffwanted.html
■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
○NHKの取材の一環で、リーゾにもカメラが入りました。ディレクターさん
とカメラさん、音声さんの3人が加わると、狭いリーゾは満員状態。それでも
手際よく、楽しげに、いつの間にか内容の濃い取材をしていて、さすがはプロ
です。音声さんが持つ、長〜いマイクのモフモフがツボでした。
リーゾのテレビ取材の模様はブログ記事にあります(モフモフの写真も!)。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/nhk-9a80.html
○冬季のリーゾが底冷えする原因ともなっていた、階下の空きテナントについ
に「上海軒」という中華料理屋さんが入り、開店当日にリーゾスタッフ全員で
ランチに行ってきました。
大盛りのご飯、野菜たっぷりでご飯が進むおかず、スープ、漬物、サラダ、コ
ーヒー、デザートがついて500円。筑波大生の多い土地柄、学生さんの胃袋を
がっちりつかんで、次の冬は底冷え解消できるかな・・・。
○震災をきっかけに、「こんなときこそ新しいことを」と手探りで配信を始め
た「すいすい通信」が、まさかの4年目を迎えてしまいました。
配信先も当初の4倍近くに増えました。みなさまのご愛読と温かい応援に、感
謝の言葉も見つかりませんが、精一杯の恩返しに少しでもお役に立つ情報をお
届けできるよう、あと1年を目標に今年度もがんばります。
○最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも、リーゾと
すいすい通信をどうぞよろしくお願いいたします。 (も)
すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、および関係者の皆様にお送り
しています。この号は420名様に配信しました。
お知り合いで、「すいすい通信」の配信を承認していただける方がいらっしゃ
いましたら、ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。
【すいすい通信】
発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日
ご意見ご感想、および本メールマガジンの解除はこちらまで
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【発行元】
株式会社リーゾ
〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-9-2-B201
TEL:029-852-9351 FAX:020-4623-5611
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