すいすい通信 vol.56 2015年11月号


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    ☆ すいすい通信  ☆  vol.56 2015年11月4日配信 
          
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こんにちは。リーゾの門奈です。

ハロウィーンの日につくばエクスプレスに乗ったら、死神?がとなりに座って
いてぎょっとしました(もちろん仮装)。思い切り仮装しちゃうと顔がわから
ないので、意外と平気なんだそうですよ。楽しそうなのでいつかやってみたい
と思います。

それでは、今月の「すいすい通信」をお届けします!

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・特集・・・・・・・・・・・・・・・・・「グラフ遺伝子型」描画サービス
・零細起業の経営実務・・・(10)「新商品」「新サービス」が必要なわけ
・こどもといっしょにサイエンス・・・・・・試験管内で蛍の光・ホタライト
・リーゾからのお知らせ
 
          
■ 特 集  ━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

「グラフ遺伝子型」描画サービス

いきなり専門用語で、分かりにくいタイトルですみません・・・。
ゲノム育種関係者以外には縁のない話かもしれませんので、とばしていただい
ても構いませんが、「こんな世界もあるのか〜」という話のタネに、読んでい
ただけるとうれしいです。

生物には、種によってそれぞれ決まった数、例えばイネなら12対の染色体が
あります。
その中で、何番染色体のどの位置にどういう遺伝子があるのか、あるいは目印
となるDNAマーカーがどこにあるのかを視覚的に表わしたものを、遺伝地図とい
います。

さらに、違う種類のイネを交配すると、孫の代では、親の染色体がモザイク状
に組み合わさった子供ができます。そのモザイクの状態を示すのが、遺伝地図
の一種である『グラフ遺伝子型(graphycal genotype)』です。

これを描くには、それぞれの染色体上に、ものさしの目盛りのように位置づけ
られたマーカーのひとつひとつについて、遺伝子型が「父型」「母型」「ヘテ
ロ型(父、母のミックス)」のどれなのかを調べて、マーカーの位置に応じて
色分けしていく作業が必要になります。

ひとつくらいなら手作業でも作れますが、研究内容によっては、何十個体分も
作らなくてはならない場合もあり、結構大変な作業量になってしまいます。

そこで、『リーゾのデータ解析サービスでなんとかならないか?』というご相
談が舞い込みました。

ご相談を受けたらなんとかしたくなるのがリーゾ。SE歴のある主婦スタッフに
聞いてみたところ、エクセルのマクロでなんとかなるということで、さっそく
スクリプトを作ってもらいました(・・・という表現でいいのかわかりません
が、なんか難しいものを作ってました)。

うまく動くのかどうか、ご相談者の研究者さんに生のデータを提供していただ
き、テスト描画してご意見を伺い、何度か細かいところを改良して、結構いい
感じに描けるようになりました。
というわけで、新サービスの誕生です。

実際に、ご利用いただく場合に描画に必要な情報は、各染色体上のマーカー名
(任意)、位置(cMまたはbp)、遺伝子型(1〜4の数値で示す)、それ
に各染色体の全長(cMまたはbp)です。
これだけいただければ、グラフ遺伝子型を描画したファイル(エクセル形式)
をお返しします。

得られた図はいったんお送りし、メールで指示していただきながら、細かいと
ころを改変して最終版を作ります。そもそもエクセルや他の描画ソフト上で微
調整が可能ですので、ご自分で好きなように改変してお使いになることもでき
ます。

料金は、1個体(地図1枚、2往復までの改変つき)9,800円(税別)。
改変不要の場合には、1個体(地図1枚)4,900円(税別)を予定してお
ります。

お送りいただくデータ形式(エクセル形式)と、出力される地図の例を載せた
ブログ記事はこちらです。

http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-2f25.html


まだホームページをつくっておりませんので、ご希望の方は、本メールに返信
か、リーゾウェブサイトの問合せフォームよりご連絡ください。
(今のところ、イネでしか試していませんが、他の植物種についてもご相談に
応じます)

他にも、『こんなことやってくれないの?』ということがありましたら、ぜひ
軽くリーゾに投げてみてください。お待ちしております!


■ コ ー ヒ ー ブ レ イ ク ━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 

零細起業の経営実務(9)「新商品」「新サービス」が必要なわけ

起業したい、するかもしれない研究者さんのために、リーゾの経験談をお話す
るシリーズです。上の記事からの流れか?と思われそうですが、今回は、小さ
なビジネスであっても意外と必要だったりする新規事業についての考え方をご
紹介します。
少々回りくどいですが、根気よく読み進めていただければ幸いです。

ある商品が市場に投入される=生まれる瞬間から、売れなくなって姿を消すま
での一連のプロセスを、生き物の一生に例えて、「プロダクト・ライフサイク
ル」と呼ぶのをご存知でしょうか。

プロダクト・ライフサイクルには、
・販売開始直後の「導入期」、
・市場に認知され大きく伸び競合も増える「成長期」
・需要が頭打ちになりシェアの奪い合いになる「成熟期」、
・技術革新のため需要が減少して業者が撤退していく「衰退期」
の4つのプロセスがあります。

赤ん坊として生まれて、成長し、大人になって活躍し、老人になってやがて死
ぬ、そのサイクルとほぼ同じです。テレビや携帯電話など革新的な電気製品を
イメージしてみると、実感しやすいです。
近年は、技術の進歩や情報伝達が加速していることもあり、テクノロジー製品
のライフサイクルがどんどん短くなる傾向があると言われています。

これを踏まえまして。
もうひとつの考え方が、「プロダクト・ポートフォリオ」です(横文字ばっか
りですいません)。

これは市場成長率とマーケットシェアを軸とした4つの象限で自社製品を考え
るもので、
・市場成長率、マーケットシェアともに低い=「負け犬」
・市場成長率、マーケットシェアともに高い=「花形商品」
・市場成長率は低いが、マーケットシェアは高い=「金のなる木」
・市場成長率は高いが、マーケットシェアは低い=「問題児」

この中で言えば、多くの新製品は、「問題児」からその生涯をスタートし、う
まく行けば「花形商品」を経て「金のなる木」になり、最後は「負け犬」にな
ってその生涯を閉じることがわかります(うまく行かない場合は、「問題児」
から直接「負け犬」になります)。

つまり、新製品の「導入期」には、「問題児」で、「成長期」には「花形商品」
になり、「成熟期」に「金のなる木」になり、「衰退期」には「負け犬」にな
ると考えられます。

さて、それで何がいいたいのかといいますと・・・

会社経営においては、自社製品に「花形」「金のなる木」がひとつあるかない
か、というケースが多いと思いますが、仮に自社製品の全てが「花形」「金の
なる木」なら万々歳かというと、そうではないということです。これらはいず
れ衰退期を迎えるので、何もしないと会社自体が衰退してしまいます。

ではどうしたら良いのか?

成長すれば次の「花形」「金のなる木」になりうる新製品や新サービスを、次
々に生み出していけばよい、というよりも、そうしなくては生き残れない、と
いうことになります。

こんな話は、大企業に限ったことではないのか?と思われるかもしれませんが、
果たしてそうでしょうか?

ものすごくやりたいことや、思い入れのある製品で起業する場合、その製品や
事業の成長に注力するあまり、このことを忘れがちではないかと思います。
零細であっても、むしろ経営体力のない零細だからこそ、事業の種まきとも言
える新製品や新サービスを小さく生み出し続け、余力を使ってゆっくり育てて
おくことで、万が一本業が成り立たなくなっても生き残る道を残すことができ
るのではないでしょうか。

いろいろたくさん生んでおけば、適応して繁栄するものが出てくるなんて、何
だか生物の世界のようです。生物多様性の豊かな土は健康で強いそうですが、
事業も似たようなものかもしれません。

リーゾを振り返ってみますと、上の記事が好例であるように、お客様の要望で
商品やサービスがかなり多様化しています。が、それぞれがどのフェーズ、象
限に当てはまるのかと考えると、ほとんど全てが「問題児」。すいすいシリー
ズや交配袋はかろうじて花形に近いかなと思いますが、「データ解析」「アク
アリウム」は赤ちゃんですし、「美食同玄米」もまだまだ・・・。

でもそれぞれに、熱烈に必要としてくださるお客様がいる商品になっています
し、こんな風にたくさん種まきできること自体、きっと幸せなことなんでしょ
うね。

「プロダクト・ライフサイクル」「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメン
ト」については、筆者独自の解釈で説明しております。ネット検索していただ
くと参考になるサイトがたくさん出てきますので、気になる方はきちんと勉強
してみてください。


■ こどもといっしょにサイエンス ━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

試験管内で蛍の光・ホタライト

夏の夜、ロマンチックに空を飛び交うホタルの光を、なんとお家で再現できる
実験キット、その名も『ホタライト』(ホタル+光(ライト))というものを
見つけました。生物系の実験では珍しい、光モノです。
目にも楽しく実験しながら、酵素の性質と仕組みの基礎を直感的に学ぶことが
できます。
  
ホタルのお尻が光るのは、「ルシフェリン」というタンパク質を、「ATP」と
いう物質の存在下で、「ルシフェラーゼ」という酵素が分解する反応によるも
のです。ルシフェリンも、ルシフェラーゼも、ホタルの身体の中で作られます。
ATPは、アデノシン3リン酸という物質で、生き物の細胞の中に必ずある、生
命活動に欠かせない物質です。

この3つの成分を粉末にしてセットにしたのが『ホタライト』。ちなみに、ル
シフェリンとルシフェラーゼは、遺伝子組み換えによって大腸菌に作らせたも
のだそうです。大量のホタルをつぶして取り出したわけではないのでご安心く
ださい。

このキットの使い方は簡単で、粉末A(ルシフェラーゼ)を水に溶かしたA溶液
と、粉末B(ルシフェリンとATP)を水に溶かしたB溶液を、試験管の中で同じ
量ずつ混ぜるだけ。これだけで、試験管の中の水がホタルのように光ります。
ホタルの光はそれほど強くないので、できるだけ暗い部屋で実験するといいで
すね。

これだけでもそれなりに楽しいですが、光らせてみると、「もっと強く光らせ
たい!」という気持ちになるものです。では、どうしたらもっと強く光るでし
ょうか?

ここから先は、ルシフェラーゼを「酵素」、ルシフェリンを「基質(きしつ)」
と呼びます。

<実験その1>濃度を濃くしたらどうなるか?
粉末を溶かすときの水の量を減らして、濃度を高くしたら光は強くなるでしょ
うか?A液だけ濃くする、B液だけ濃くするとどうなるでしょうか?

<実験その2>温度を変えるとどうなるか?
温度の違う水(氷水、室温の水、お湯など)を用意して、光っているホタライ
トを試験管ごとつけてみましょう。

<実験その3>一度消えた光を復活させられるか?
氷水や熱湯につけなくても、時間が経つと、光は自然に消えていきます。光を
復活させるには、「酵素を足す」「基質を足す」「両方足す」のどれが効果的
でしょうか?

<実験その4>酸性・アルカリ性にする(pHを変える)と光は強くなるか?
pHを変えるのに追加の薬品(水酸化ナトリウム、塩酸など)と、できればpH
試験紙があるといいですが、もし手に入ればこんな実験もできます。
どのくらいのpHのときに、光はいちばん強くなるでしょうか?

以上のような実験をしてみることで、酵素の性質についていろいろ重要なこと
が学べます。

(1)いちばん光が強くなる温度帯が、この酵素の「最適温度(至適温度)」
であること。多くの酵素は、生き物の細胞の中で機能しやすいように、だいた
い40度弱くらいでいちばん働くようにできています。

(2)酵素もタンパク質なので、熱湯につけると変性してしまい、不可逆的に
機能を失うこと。

(3)光るには、酵素と基質(とATP)の両方が必要なこと。自然に光らなくな
ったのは、基質が全部分解されたため(酵素は残っている)なので、基質を加
えてやればまた光ります。逆に、酵素だけを加えても、基質がないので光りま
せん。

(4)温度と同様、生き物の細胞の中で機能しやすいよう、ほぼ中性域で最も
機能すること。強酸性、強アルカリ性ではやはり変性してしまいます。

シンプルな構成物で、こんなにいろいろ勉強できるとは、なかなかやるな!と
いう実験キットです。夜が長いこれからの季節、暗くなってから実験するとロ
マンチックなムードも楽しめてよいかも?

『ホタライト』は、キッコーマンから販売されています。
製品の詳細はこちら。

http://biochemifa.kikkoman.co.jp/products/hotalight/

通販でも買えるようですので、ご興味ある方はたどってみてください。


■ リ ー ゾ か ら の お し ら せ ━━━・・・・・‥‥‥………

○「つくばエンバイロフォーラム・秋の講演会」でお話しします

本メルマガの連載がきっかけで、僭越ながら零細起業の経営について、お話を
させていただくことになりました。
講演会ラッシュの時期につき、参加者が少なそうだと主催者に宣伝を頼まれて
います。よろしければぜひいらしてください(誰でも参加でき、無料です)。

http://www.pref.ibaraki.jp/shokorodo/sansei/shosei/documents/20151113.pdf

<以下、主催者からのご案内より抜粋>

平成27年11月13日(金) 13:15〜16:30
場所:文部科学省 研究交流センター(つくば市竹園2-20-5)
内容:講演会・交流会(参加費無料)

講演「今後の水素社会へ向けて」(仮題) 13:30〜14:30
水素社会の実現に向けて、中小企業が取り組める技術や可能性についてお話頂
く予定です。。    
 講師: 岡島敬一 氏(筑波大学大学院 システム情報工学研究科 准教授)

講演「事業は [得] [楽] [便利] [面白い] の提供で!」14:30〜15:30
新規事業をお考えの個人を含めた経営者、更に現業からの新事業創出を検討さ
れている方を対象にお話し頂く予定です。
 講師:門奈理佐 氏 ((株)リーゾ 代表取締役)


○「研究室秘書セミナー」を開催します(既報)

大学や研究機関などで秘書として働きたい主婦向けのセミナーを開催すること
になりました。
講師は、主婦であり現役の大学秘書である方にお願いしています。実験は難し
いけど、秘書ならできるかもという方、再就職に向けて多方面に情報収集した
い方にお勧めです。

日時:平成28年1月27日(水)
場所:つくばカピオ 小会議室(4階)
受講料:2160円(税込)

詳細、お申し込み方法はこちらのサイトをご覧ください。
http://rizo.co.jp/hisyoseminer.html


○『太陽熱土壌消毒』の成果発表会が行われます

「すいすい通信」読者様からのご案内です。
平成27年12月3日、東京コンベンションホールにて、農食事業「陽熱プラ
ス」成果発表会が行われます。
太陽熱で土壌を消毒し、健全な土作りを行う方法を提案する会だそうです。
マニュアルDVDや新肥料サンプルの配布もあるとのこと(事前申込要)。
農業関係者さん、ご興味ありましたらぜひどうぞ。参加費無料。

詳細はリンク先をご覧ください。

https://www.naro.affrc.go.jp/event/list/2015/10/059982.html



■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

○先月、出身高校(長崎西)の在京同窓会があり、抽選会の景品に美食同玄米
を出すことができました。起業以来の夢のひとつだったので、ちょっと感無量
です。当たった方、食べてくださるといいんですけど。
美食同玄米、おかげさまで昨シーズン収穫分はほぼ完売し、今年も無事に収穫
できました。現在、新米の出荷準備中です!

○大学受験予備校の父母対象講演会に、英語課の先生のお話を聞きにいきまし
た。曰く、「心が向いていないことへの努力は無駄である」「短所を補うより
長所を伸ばすべき」「英語力向上に重要なのは日本語で蓄積された知識と教養」。
どれも現在の自分の心にぐっと来て、息子の受験そっちのけでわくわくしなが
ら聞いてしまいました。関係ないと思っても、行ってみるものですね。

○7月から「くもん」で大学以来ご無沙汰のフランス語を始めて3ヶ月。CDと
プリント10枚で1日15分。結構楽しくて、「勉強が苦痛でない」のは新鮮
です。一説によると、どんなことでも100時間やると、一通りモノになると
かで、計算では1年続けると約100時間。9ヵ月後には仏文学を読めるのか?
壮大な実験中です。

○最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも、リーゾと
すいすい通信をどうぞよろしくお願いいたします。          



すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、および関係者の皆様にお送り
しています。この号は573名様に配信しました。
お知り合いで、「すいすい通信」の配信を承認していただける方がいらっしゃ
いましたら、ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。
配信登録はこちらからできます↓

http://rizo.sakura.ne.jp/vd/entry/e/bS8PtaC5kPRXp3iy/



【すいすい通信】

発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日

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【発行元】

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〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-9-2-B201
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