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    ☆ すいすい通信  ☆  vol.73 2017年4月5日配信 
          
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こんにちは。リーゾの門奈です。
桜の便りが届き始めた新年度初頭、いかがお過ごしでしょうか。おかげさまで
すいすい通信は7年目に突入しました。今年度もおつきあいのほど、よろしく
お願いいたします。

それでは、今月の「すいすい通信」をお届けします!

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・研究者さんのお悩み解決・・・・・土・水・活性汚泥からDNAを取りたい
・零細起業の経営実務・・・・・・・・商品に持たせる「付加価値」の考え方
・実験補助者への道・・・・・・・・・・・・・・・気になる待遇と職場環境
・リーゾからのお知らせ
 
          
■ 研究者さんのお悩み解決 ━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

土・水・活性汚泥からDNAを取りたい

ゲノム分野の研究者さんのお悩みを解決するリーゾ製品をご紹介します。
今回は、土・水・活性汚泥など、いわゆる環境材料からDNAを抽出するための
抽出バッファー、DNAすいすい-Eです。

すいすいシリーズは、他社キットでは取れない材料からの抽出に特化していま
すが、正確に言うと土からDNAを取る試薬としては、他社製品がいくつか出て
おり、それほど珍しいものではありません。しかも他社製品の多くはカラムや
グラスミルクを利用して、高純度のDNAが抽出できる便利なキットです。

にも関わらず、なぜリーゾが開発したのかというと、これらのキットはとても
値段が高いから。1サンプル抽出するのに何千円もかかってしまうのでは、重
要なサンプルひとつならともかく、通常の実験や、ましてや検査業務などで使
うことはできません。

環境材料からの抽出といえども、DNAの出所は、当然のことながら、微生物な
どの生き物です。抽出の難しさは微生物を取り巻く「環境」の方にあります。

土壌の場合、「腐植」という、枯死した植物が分解してできるポリフェノー
ル系の物質が混入してしまうことと、火山灰などの「多孔質物質」の微細な孔
がDNAを強力に吸着してしまうこと、この2点が問題でした。

そこで、微生物からDNAが取れる「DNAすいすい-F」を出発点とし、微生物のDN
Aは問題なくとれるが、腐植や多孔質があると取れないという状況を作り、テ
スト抽出を繰り返して、完成させました。

リーゾでは入手できる土壌の種類は限られていて、どんな土でもうまく取れる
のか?の検討には限界がありましたが、その後、たくさんのお客様に対応させ
ていただきながら、実績を重ねています。

その中で、ひとつ大事なことがわかりました。

それは、
『抽出方法(バッファーの組成)が違うと、取れてくるDNAも違ってくる』
ということです。

考えてみれば当然で、微生物の種類は多岐にわたり、細胞の壊れやすさも違い
ます。抽出バッファーの組成によって、優先的に壊れる(DNAが出てくる)微
生物、壊れにくい(DNAが出てこない)微生物が異なることは十分にありえます。

従って、土壌同士の比較を行う場合には、『抽出バッファーを途中で別のもの
にしない』ということが重要です。
もしも他社キットから乗り換える場合にはその点についてご留意いただければ
と思います。

ところで、DNAすいすい-Eは、土壌を念頭に開発しましたが、「ちょっと複雑
な環境下にいる微生物(細胞)」という観点から、意外な使い方もできていま
す。

例えば、湖の水をフィルターに通して回収した藍藻からのDNA抽出。フィルタ
ーには、泥の成分もひっかかるので、普通の方法だとなかなか抽出できません
が、DNAすいすい-Eなら十分取れます。

また、家畜の唾液。唾液(口腔粘膜細胞)からのDNA抽出はDNAすいすい-Fでで
きますが、土や餌などの異物混入の影響で取りにくい場合にはDNAすいすい-Eが
使えます。

さらに、熟成中の堆肥や、水質浄化のための活性汚泥の状態を調べる、といっ
た用途にもお使いいただけています。

粉砕機がない、あるいは物理的刺激を与えたくない場合にも使えます。
DNA抽出する際には、通常、ビーズ式の粉砕機にかけるなどの物理的破砕が必要
ですが、DNAすいすい-Eの場合には、「長時間浸漬する」だけでもかなり高効率
で、分子量の大きなDNAが抽出できます。

すいすいシリーズの他の製品と同様、安くて簡単でたくさん取れるけど精製度
がいまひとつなのが泣き所なのですが、イソプロパノールを加えたあと、遠心
の代わりに市販の単品売りカラムを使って回収すると、精製度もかなり改善し
ます(カラムに通したのち、70%エタノールで洗浄し、水かTEで溶出)。

土壌や環境材料からのDNA抽出をこれから始める研究者さん、コストと手軽さ
を重視するなら絶対お勧めです。まずは試供品をご請求ください。

DNAすいすい-Eのご案内はこちらです。
http://www.rizo.co.jp/DNA-E.html


■ 零 細 起 業 の 経 営 実 務 ━━━━・・・・・‥‥‥……… 

商品に持たせる「付加価値」の考え方

起業を考えている研究者の皆さんに、リーゾの体験をお伝えするシリーズ。今
回は、お客さまに感じていただく「付加価値」をどのように構築するか?につ
いてです。

リーゾは零細なので、価格競争することができません。必然的に、少量を高く
売る商いになります。といっても、「高い」と思われるだけならお客さまには
買ってもらえませんから、価格に見合うだけの、納得して買っていただけるだ
けの付加価値をつける必要があります。

どうしたら付加価値をつけられるのか?は、リーゾの永遠の課題ですが、これ
までの熟考や試行錯誤で少し見えてきたことをお話しします。

商品やサービスの持ちうる付加価値は、大きく分けると、「機能」「デザイン」
「ストーリー」の3つになると思います。

第1に、「機能」とはなんでしょうか。
食品で言えば、栄養成分や機能性成分といったものが思いつきますが、それだ
けではありません。むしろ「おいしさ」や「食べやすさ」だったり(咀嚼や嚥
下が難しくなると重要)、いろいろな料理法があったり、食生活が規則正しく
なったり。ミニアクアリウムで言えば、コップでメダカが飼える、が重要な機
能だし、交配袋なら好きなサイズを100枚から使える、も機能といえます。

つまり機能とは、科学的なエビデンスの有無は関係なく、とにかく、「それを
使うことで起こる良いこと全て」、つまり、「お客様のなりたい未来」。そう
考えれば、たくさん出てくるのではないでしょうか。
「ほんとうは、こうなりたいですよね?」と示されることで初めて認識できる
機能が、実は多いのです。

「デザイン」も重要です。デザインと聞くとパッケージやロゴと思いがちです
が、これもそれだけではなく、もっと大きく考えたいと思います。

たとえば、お客さまがどんなお店で、どんな風にその商品を手に取り、どんな
接客を受けて、どんな気持ちでお金を払い、商品を受け取るのか。
持ち帰って開封するときの感じ方や、使い終わって次を買おうと思ったときの
買いやすさ、注文しやすさとか。
あるいは、定期的にお便りが届いて、特別なお客さま感を味わえるとか。

商品そのものは同じでも、商品とその周辺のサービスの総合的なデザインを考
えることで、お客様の感じる付加価値を高められるというのです。関連して、
最近ホットなマーケティング用語として、「サービスデザイン」「カスタマー
ジャーニー」なんていうのがあったりします。

そして第3の「ストーリー」。
実は、私自身は、これがいちばん重要だと思っています。

ストーリーとはたとえば、どんな人物が、どんな思いでこの商品を作ったのか、
開発や売る段階でどんな苦労をしてきたのか、どんな人たちに愛されている製
品なのか・・・・などがあります。
あるいは、創業以来の歴史や伝統とか、お店や商品にまつわる神話や言い伝え
なども入ります。

人は他人の苦労が大好きで、共感すれば応援したくなるものです。また、芸能
人や上流階級など憧れの人たちと同じ物を使うことで、同じソサエティに属し
ているような気分になれる、という価値を感じたりもします。

卑近な例で言えば、ブランド物のハンドバッグを買う人は、単にモノを入れて
運ぶという機能だけが欲しいわけではないですよね。伝統だったり、品質だっ
たり、お店で受ける丁寧な接客であったり、あるいは購入後に他人から向けら
れる羨望のまなざしであったり。そういう価値を感じるからこそ、高いお金を
払うのです。

「機能」「デザイン」「ストーリー」が揃ったら、今度はそれをいかにして伝
えるか?が課題になります。リーゾの場合、残念ながら先立つものがありませ
んから、広告宣伝にはお金をかけず、手間と時間をかける方向で地道な努力と
工夫を、もちろん現在も試行錯誤しながら少しずつ重ねつづけています。

リーゾのいろいろな製品で、機能、デザイン、ストーリーが、どのように設定
され、どのように伝えられているか。
語りだすと際限なく熱く長くなってしまいますので、ここでは控えますね。
もしよかったら、ご興味のある製品やサービスについて、チェックしていただ
ければうれしいです。

リーゾのウェブサイト
http://www.rizo.co.jp/

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■ 実 験 補 助 者 へ の 道 ━━━━━━・・・・・‥‥‥………

気になる待遇と職場環境

主婦を対象として、研究機関で働く実験補助者を育成する活動を始めて7年目。
どんな内容のことを行っているのか、気になる研究者さんも多いのではないか、
ということで、「実験補助者への道」と題して少しずつお話ししていきたいと
思います。

今回は、実験補助を目指す人にとってとても気になるはずの、待遇と職場環境
についてです。

まず、お給料面から。
お給料は通常、時給で支払われます。研究機関によって違いますが、950円前
後からで、大学理系学部卒、大学院卒、あるいはキャリア的にそれ相応のレベ
ルと認定されれば、1200円〜1500円くらいまで上がることもあります。
交通費は、規定により別途支給されます。

有給休暇は、就業規則に決められた通りにもらえます。週何時間働くかにもよ
りますが、半年過ぎたあたりで5日程度つくことが多いようです。

子育て中の主婦にとっては、子供の学校行事や病気などで休めるかどうかも大
問題です。研究室のカラーやボスの考え方にもよるとは思いますが、私が知っ
ている限りで言えば、実験補助者が休みたいと連絡してきたときにノーと言う
研究者さんはいらっしゃいません。

就業規則上は、前日までに申請、となっていたりはしますが、子供の病気は当
日朝に出るものです。電話して、すみませんがこういう事情で休みたいのです
が、と真摯に伝えれば大概だいじょうぶです。もちろん、学校行事などで前も
ってわかっているときは早めに伝えます。

残業や夜間勤務、休日出勤は、原則としてありません。16時までなら16時で帰
れます(もちろん、きりが良いところで終われるように、うまく段取りする必
要はありますが、そこは主婦力の発揮しどころのひとつです)。

年齢制限は、就業規則に従いますが、65歳くらいまで働けるようです。最近、
法律が変わり、「5年ルール」ができたので、どちらかというとその方が深刻
です。法の趣旨に反して、同じ研究機関で働く期間が5年に近づくと、いった
ん退職するように促される(というか契約更新してもらえない)のが実情です。

なお、半年空ければ再び雇用できますが、それを約束して辞めてもらうのは違
法なので注意しましょう(→研究者さんへ)。

有害物質を扱うので、体に悪い影響はないのか?も気になるところだと思いま
す。バイオ系の研究室では、エタノールなどのアルコール系の溶媒や、吸い込
むと体に悪いクロロホルム、手につくと痛いフェノール、発がん性があるとい
われる色素などを使うことがあります。全体として、安全な試薬で代替する方
向にありますが、使う場合には白衣、使い捨て手袋、保護めがね、マスクなど
を着用して、ドラフトチャンバー(空気が外に出てこない特殊な箱)を利用す
るなど、十分に配慮されています。

楽しいこともあります。
農林系の研究所だけかもしれませんが、午前、午後それぞれ15分程度の「お茶
の時間」があるところが多いです。公的研究機関の場合は、メンバーが数百円
ずつ出し合って茶菓子などを共同購入します。出張や旅行のおみやげのお菓子
をみんなでいただいたりもします。

お茶の時間には、手が空いていれば研究者さんも加わります。ラボのボスにと
っては、メンバーと仕事以外のことでコミュニケーションできる貴重な機会で
す。受験情報の交換など、有意義な面もありますが、盛り上がりすぎて時間を
超過しないように気をつけましょう。

職場環境といえば、ちょっと変わった人が多いというイメージがある(?)研
究者さんとの上手な付き合い方や、人間関係のトラブルの避け方も気になると
ころです。このあたりの話は次回にいたします。


※実験補助セミナーは5月より新しいクールが始まります。研究機関で働きた
い方とのご縁をお待ちしています。
また、派遣登録をご希望の経験者さん、実験補助者を紹介して欲しい研究者さ
んもお気軽にご連絡ください。

http://www.rizo.co.jp/seminer.html


■ リ ー ゾ か ら の お し ら せ ━━━・・・・・‥‥‥………

○実験補助セミナーのご案内

2017年度の実験補助セミナー@リーゾの受講生を募集しています。月1回、
全8回で、バイオ系の実験補助者として必要なスキルを身につけ、需要の多い
経験者レベルを目指します。文系出身者歓迎です。

詳細・お申込はリンク先またはお電話(029-852-9351、平日9−16時)で。

http://www.rizo.co.jp/seminer.html


○大きな交配袋、できます

リーゾでは様々な植物種のご研究のための交配袋をお作りしています。
このほど、製作工程の工夫により、これまで無理だった大きなサイズの交配袋
も作れるようになりました。
幅は最大62センチまで、長さは無制限。厚みは通常、薄手とも対応可能です。

お値段はサイズにより変わりますので、一度お問い合わせください。

交配袋のサイトはこちらです。

http://www.rizo.co.jp/crossingbag.html


■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

○先日、農研機構・次世代作物開発研究センターにて、研究者の皆さんにお話
をさせていただきました。内容は、農学研究者による貧乏起業の体験談。そし
て研究成果活用の(思い切り泥臭い)実例として、コシヒカリつくば黒1号の
開発と「美食同玄米」事業化の経緯など。折りしも機構側も研究成果の活用に
注力しているところだそうで、とても興味深く聞いていただけました。

○農産物直売所「えるふ農国」で、最近挑戦しているのが、ちょっとしたイベ
ントスペースを設けて行う試食販売です。ご来店のお客様全員に美食同玄米を
知っていただくのが目標です。火曜日午前を中心にスタッフ水戸が担当します。
イオンモールつくばでお買い物の際には、「えるふ」でご試食を。野菜や果物、
卵などの試食も満載で楽しいですよ♪

○息子の大学入学準備を兼ねて、福岡に家族旅行し、太宰府にお礼参りもして
きました。考えてみたら、「お守り」って付加価値のかたまりのようなもので
すね。ご利益という機能、神社で祈願して購入に至るというデザイン、そして
学問の神様にまつわるストーリー。原価を考えたらありえない価格が成り立つ
のはこの3つがあればこそ、などと考えたらバチがあたるかもですが。

○最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも、リーゾと
すいすい通信をどうぞよろしくお願いいたします。          

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すいすい通信は、「株式会社リーゾ」のお客様、および関係者の皆様にお送り
しています。この号は722名様に配信しました。
お知り合いで、「すいすい通信」の配信を承認していただける方がいらっしゃ
いましたら、ぜひご紹介くださいますよう、お願いいたします。
配信登録はこちらからできます。
http://rizo.sakura.ne.jp/vd/entry/e/bS8PtaC5kPRXp3iy/



【すいすい通信】

発 行 日:月1回・第1水曜日(予定)
発行開始日:2011年4月7日

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info(at)rizo.co.jp

【発行元】

株式会社リーゾ
〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-9-2-B201
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